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オンライン資格確認等システム運用開始施設は40.6% 医療保険部会が原則義務化に向けた進捗状況の報告受ける(1月16日)

厚労省の医療保険部会(部会長:田辺国昭/国立社会保障・人口問題研究所所長)は1月16日、オンライン資格確認等システムについて議論した。

オンライン資格確認等システムの原則義務付けや健康保険証の廃止、電子処方箋導入の進捗状況、令和5年度保険局予算案等が事務局より報告された。

オンライン資格確認等システムについては、令和4年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」を受け、8月10日の中医協において答申・公表され、令和5年4月から保険医療機関・薬局への導入が原則義務化された。

原則義務化に向けた取組みとして、3師会(日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会)により設置されたオンライン資格確認推進協議会と厚労省が連携して、医療機関に向けてオンライン説明会を開催したり、地域ごとでの説明会を8月以降42回開催したりするなどした。

結果として、顔認証付きカードリーダー申込数は全22万9936施設のうち20万8719施設(90.8%)まで普及した。一方で運用開始施設数は9万3378施設(40.6%)に留まる(いずれとも令和5年1月8日時点)。これらの状況を踏まえ、令和4年度末時点でやむを得ない事情がある保険医療機関・薬局には、期限付きの経過措置が設けられる。

経過措置が適用される「やむを得ない事情」として6類型が示されている(下表)。

原則義務化の経過措置

具体的には例えば「令和5年2月末までにシステム事業者と契約締結したが、導入に必要なシステム整備が完了しない」場合や「令和5年4月時点で常勤の医師等が高齢であって月平均レセプト件数が50件以下」等が該当する。

資格確認のみの簡素な仕組みを令和6年4月以降目途に運用開始

これらの説明を受けた委員からは次のような意見があげられた。

  • 12月の中医協答申附帯意見にある『多くのデータに基づいた安心・安全でより良い医療を受けることが可能になる』というメリットを実現させてほしい(佐野雅弘/健康保険組合連合会副会長)

  • 厚労省は医療機関等に対して経過措置の延長はないものとの認識を促してほしい(本多孝一/日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会長)

  • 医療情報取得にかかる同意を求める折、利用者によってはなんとなく怖いといった防衛的な反応を引き起こすと聞く。円滑な同意取得のための利用者への配慮を行うべき(藤井隆太/日本商工会議所社会保障専門委員会委員)

事務局は今後のオンライン資格確認の推進策を紹介した。

まず、システム事業者各社への働きかけを引き続き行う。必要に応じて導入支援事業者(NTT東日本・西日本等)との連携を促し、令和5年9月末までの導入完了をめざす。

また、オンラインで資格確認を行う手段の種類を増やす。

現在提供している顔認証付きカードリーダー等を利用する仕組みにくわえて令和6年4月以降を目途に、①モバイル端末等を利用して資格確認や健康・医療情報を取得活用できる仕組み(居宅同意取得型)と、②汎用カードリーダー等を利用して資格確認のみを行う簡素な仕組み(資格確認限定型)の運用を開始する。

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