中医協がコロナ治療薬のゾコーバ錠の薬価算定を了承(3月8日)
中医協総会(小塩隆士会長)は3月8日、新型コロナ治療薬であるゾコーバ錠(塩野義製薬)の薬価収載を了承した。
算定薬価は125㎎1錠で7407.40円。1治療単価では5万1851.80円となる。
市場規模はピーク時(2年度)で投与患者数が37万人、販売金額が192億円と予測。予測を超えて販売金額が増えた場合に薬価を下げる仕組みである市場拡大再算定については、3千億円を超えた場合に薬価を3分の1にまで引き下げる措置を新たに用意した。
3月15日の収載を予定している。
ゾコーバ錠は日本発の新型コロナの治療薬であり、高額な薬価が設定され投与患者数が増えると、医療保険財政に与える影響が懸念されることから、中医協総会において事前に、薬価算定の方法を決めた。中医協総会が決めた方法に則って、薬価算定組織で薬価算定が行われ、同日報告された。
薬価算定では、類似薬効比較方式(Ⅰ)を用いた。中医協総会は、新型コロナという対象疾患の類似性と、重症化リスク因子の有無という投与対象患者の類似性のどちらを優先するかによって、算定薬価が大きく変動することから、類似薬の中から複数の比較薬を選定するとの考えを示していた。
これを踏まえ、比較薬は新型コロナ治療薬のラゲブリオカプセル200㎎と、インフルエンザ治療薬のゾフルーザ錠20㎎が選定された。両比較薬の類似性の程度をみると、効能・効果、薬理作用、投与形態などにおいて、同等の類似性が認められた。類似性を同等とみなし、二剤の1治療薬価の平均値を求めると、1錠7054.80円になった。これに有用性加算(Ⅱ)Aの5%が加算された。
中医協総会で決定した考え方に則って薬価が算定されたため、中医協として薬価算定案を了承した。ただ、支払側委員からは、「かなり高い価格で薬価が設定された印象」(松本真人・健保連理事)との感想がもれた。
禁忌の対象者確認を入念に
妊娠または妊娠している可能性のある女性に対して、ゾコーバ錠は「禁忌」となっている。厚労省は、投与対象について最新のガイドラインを参考にすることを含め、改めて留意事項通知を発出し、注意喚起を行う。厚労省ホームページに「妊娠と薬」の頁を新たに設ける。医療機関に、患者が「妊娠していない」「妊娠する可能性がない」を入念に確認するよう求める。