日医会長、来年4月のオン資の原則義務化「スケジュール的に難しい」(6月15日)
日本医師会の中川俊男会長は6月15日の会見で、骨太方針2022に対する見解を表明した。オンライン資格確認システム導入の原則義務化には反対しない考えを示す一方、来年4月からは「スケジュール的に難しい」と述べた。
骨太方針で保険医療機関と薬局に対して2023年4月からオンライン資格確認の導入を原則として義務づける方針を明記したことについて「現場感覚としてスケジュール的に難しいと考える。各医療機関の基盤整備など物理的に間に合わないし、国による財政支援も明文化されていない。原則の内容はこれから詰めていくことになるが、医療現場や国民が混乱をきたすことのないよう、導入・維持への十分な財政支援や、丁寧な周知・広報による国民、医療機関双方の理解の醸成を求める。到底間に合わないということで、反対ではない」と述べた。
保険証の原則廃止の方針については、「国民にとってマイナンバーカードの取得は義務ではない。マイナンバーカードを取得しないことで、保険医療を受けにくくなる国民が出ることのないよう配慮を求める」と要望した。
『診療報酬改定DX』を進める考えについては、「診療報酬改定に関する部分は今後中医協で議論し、システム上の対応などは区別して検討する必要がある」と述べた。
かかりつけ医機能については「財政制度等審議会の建議では、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化することを求めていた。しかし、骨太方針では岸田首相の配慮によって『かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う』との表現になった」と評価した。その上で、「患者の医療へのアクセスが維持され、患者の健康状態がこれまで通り守られるよう、国民、患者視点で検討を進めてほしい」と要請した。
次期会長選は不出馬
医療法人の経営状況に関する全国的な電子開示システムを整備する方針については「個別の医療法人の事業報告書を詳細化し、一人医師医療法人も含めて公開されれば本来の政策目的とは全く違うことに利用される恐れがある。医師の個人情報に近いものも流出しかねず様々な情報が流れることで、医療現場に大きな混乱を生じさせる。政策利用の趣旨に沿って集計・分析したデータのみを対象とするよう今後の検討会などで主張していく」との考えを示した。
リフィル処方箋について「普及・定着のための仕組みの整備を実現する」と明記されたことに対し、「国民に定期的な医学管理の重要性を理解してもらえるように努め、かかりつけ医として患者の病状を個別に、かつ総合的に考慮した上で、リフィル処方箋の利用を慎重に判断していただけるよう最大限支援したい」と述べた。
一方、中川会長は次期会長選に出馬しないため、同日の定例会見が最後になることを明かし、「2年前に会長に就任してから、定例会見に多数の方に出席いただいた。日医の見解を多数発信してもらい、本当に感謝している」と挨拶した。
会見終了後には中川会長の要望によって、会長を囲んで出席した記者たちと記念撮影を行った。