感染対策向上加算と新興感染症対応の整合性求める 中医協総会が感染症対応を議論(2023年7月26日)
中医協は7月26日の総会で、令和6年度診療報酬改定に向け感染症をテーマに議論を行った。医療計画に追加された新興感染症やそれ以外の感染症に対応できる体制、薬剤耐性対策の評価が論点となった。
改正感染症法等により、新興感染症発生時の政府による公表後の一定期間(3カ月)、「流行初期医療確保措置」が講じられる。これは流行初期に感染症医療を行う協定締結医療機関の経営を支えるため、感染症医療を行った月の診療報酬収入が、流行前の同月のそれを下回った場合に、差額を公費と医療保険で支払うもの。
政府は新型コロナの重点医療機関を念頭に、流行初期医療確保措置の対象となる協定締結医療機関を約500施設と想定。約1.9万床の確保を目指すとしている。発熱外来は約3.3万人を受け入れるため、約1,500施設との協定締結を目指す。
診療報酬については2022年度改定で感染防止対策加算が再編され、感染対策向上加算1~3、外来感染対策向上加算が新設された。新型コロナ対応では、今年5月7日まで、感染対策向上加算1は重点医療機関、感染対策向上加算2は重点医療機関または協力医療機関、感染対策向上加算3は重点医療機関、協力医療機関または診療・検査医療機関、外来感染対策向上加算は診療・検査医療機関が算定するものとなっていた。
2022年7月1日時点で、感染対策向上加算1の算定は1,248施設、加算2は1,029施設、加算3は2,042施設となっている(図)。
健保連の松本真人委員は「流行初期医療確保措置の対象施設と感染対策向上加算1を算定する施設の差となる病院に期待することは何か」と質問。これに対して厚労省保険局の眞鍋馨医療課長は「整合性が必要との意見を受け止めたが、まだ整理できていない」と述べた。
同日の資料でも、感染対策向上加算の施設基準が、新型コロナ対応の重点医療機関・協力医療機関等の枠組みとは連動していたが、第8次医療計画における新興感染症対応の枠組みとは一致していないことを指摘している。他の支払側委員からも、感染対策向上加算の算定と新興感染症対応との連動が求められた。