あはき療養費の令和6年改定の議論をスタート 距離加算廃止など6項目を提案(2023年7月14日)
社会保障審議会医療保険部会のあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会は7月14日、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう(あはき)療養費の令和6年改定に向けた議論をスタートした。厚労省が令和6年改定の基本的な考え方を説明。往療料の距離加算の廃止や訪問施術料の創設など6項目が示された。保険者代表の委員から料金包括化への反対意見が出た。
あはき療養費の令和4年改定は同年6月1日に施行。改定率は医科+0.26%の半分に当たる+0.13%で、「施術料・初検料・施術報告書交付料の引き上げ」などが行われた。なお、令和元年度の療養費はあん摩マッサージ指圧が750億円、はり・きゅうが437億円となっている。
令和6年改定では、令和4年改定における引き続きの検討事項となった「往療料の見直し」を踏まえ、基本的な考え方として6項目が提案された。
往療料の距離加算の廃止
往療料の距離加算(4㎞超の区分)を廃止。その場合、当該廃止に伴う財源は施術料や離島や中山間地等の地域の施術料の加算として振り替える。離島や中山間地等の地域に係る加算の創設
距離加算(4㎞超の区分)の廃止の影響に配慮し、離島や中山間地等の地域の施術料の加算(「特別地域加算(仮)」)を創設する。「特別地域加算(仮)」の対象は、訪問看護療養費の「特別地域訪問看護加算」の地域を対象とする。往療料の見直し及び訪問施術料(仮)の創設
往療料を見直し、支給要件から「定期的・計画的に行う場合」を外し、定期的・計画的な往療により施術を行う場合は、「患家への訪問(訪問料(仮))」として区分を整理。その上で、「施術料」と「訪問料(仮)」を包括した1回あたりの新たな料金体系(訪問施術料(仮))を創設し、訪問施術制度の導入を検討する。料金包括化の推進
訪問施術制度の導入の検討を見据え、マッサージ及び変形徒手矯正術の施術料は、「施術部位数に応じた報酬」から「料金包括化」に移行する。施術料の料金包括化は、医師の同意書は変更せず施術が必要な部位が記載されるものとし、支給申請書において同意書で示された施術部位に施術がされたことの確認により、療養費の支給対象とする。同一日・同一建物への施術
今後、訪問施術制度の導入の検討により訪問施術料(仮)を新設する場合には、定期的・計画的に行う施術である性質に鑑み、同一日・同一建物への施術については、訪問診療や訪問看護における例を踏まえつつ設定する。その他の見直し
請求の電子化や審査のシステム化などの効率的・効果的な審査の検討、施術管理者の登録の更新制についてどう考えるか。
健保連の委員が料金包括化に反対を表明
健保連の幸野庄司委員は厚労省の提案に対し、6項目のうち「1」から「3」の項目について優先的に検討することを求めた。
「4」の料金包括化については「療養費の原則である健保法87条の主旨から逸脱しており、明確に反対する。部位数に関わらず包括化することで、施術回数を稼ぐことになるのではないか。必要最低限の施術をして施術料をもらうことを懸念している」と述べた。