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令和3年度障害福祉サービス等報酬改定のポイント[2]効果的な就労支援や障害児者のニーズを踏まえたきめ細かな対応

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の6つの主要事項のうち、今回は「2」について詳しくみてみます。 関連記事:令和3年度障害福祉サービス等報酬改定のポイント[1]障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援、質の高い相談支援を提供するための報酬体系の見直し等

(1)就労移行支援・就労定着支援の質の向上に資する報酬等の見直し

就労移行支援

  • 一般就労の高い移行実績を実現する事業所について、基本報酬において更に評価。

  • また、障害者本人の希望や適性・能力を的確に把握・評価を行うアセスメントについて、地域のノウハウを活用し、その精度を上げ、支援効果を高めていくための取組として、本人や他の支援機関等を交えたケース会議等を実施した事業所を評価するための加算を創設。
    【支援計画会議実施加算:583単位/回】


就労移行支援

  • 基本報酬の区分について、実績上位2区分に8割以上の事業所が分布している一方で、下位2区分には事業所がほとんどないことを踏まえ、よりきめ細かく実績を反映するため、各区分に係る実績の範囲を見直す

  • 関係機関との連携を強化し、個別の支援における協力関係を常時構築するため、関係機関とのケース会議等を実施した事業所を評価する新たな加算を創設。
    【定着支援連携促進加算:579単位/回】


(2)就労継続支援A型の基本報酬等の見直し(スコア方式の導入)

  • 基本報酬の算定に係る実績について、現行の「1日の平均労働時間」に加え、「生産活動」、「多様な働き方」、「支援力向上」および「地域連携活動」の5つの観点から成る各評価項目の総合評価をもって実績とする方式(スコア方式)に見直す。

  • 事業所ホームページ等を通じて、スコア方式による評価内容は全て公表することを事業所に義務づける(運営基準の見直し)とともに、未公表の場合には基本報酬を減算する。


(3)就労継続支援B型の基本報酬等の見直し(報酬体系の類型化)

  • 地域における多様な就労支援ニーズに対応する観点から、従来の「平均工賃月額」に応じて評価する報酬体系に加え、「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系を新たに設け、事業所ごとに選択する。ただし基本報酬の報酬体系の選択は各年度の4月に行うことを基本とし、年度途中での変更を行うことはできない。

  • 「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系において、【地域協働加算:30単位/日】【ピアサポート実施加算:100単位/月】を創設。


(4)医療型短期入所における受入体制の強化

  • 医療型短期入所の報酬算定を行うための対象者要件について、福祉型(強化)短期入所事業所では対応が困難な、高度な医療的ケアが必要であって強度行動障害により常時介護を必要とする障害児者や医療的ケア児判定スコアが16点以上の障害児等を加える。

  • 医療型短期入所事業所の整備促進を図り、医療度の高い利用者に対する支援を強化する観点から、特別重度支援加算の算定要件を見直すとともに、加算を細分化し利用者の状態像に応じて評価する。

  • 医療型短期入所について、相談支援専門員が作成するサービス等利用計画または障害児支援利用計画において、医療型短期入所事業所での日中活動支援が必要とされている場合であって、発達支援、成長支援の知識・経験を有する保育士やリハビリテーションを行う専門職を配置した上で、当該専門職が日中活動に係る支援計画を作成し、日中活動支援を実施していることを評価するための加算を創設する。
    【日中活動支援加算:200単位/日】

関連書籍

障害者福祉ガイド 令和3年4月版

本記事は『障害福祉サービス報酬の解釈 令和3年4月版』および『障害者福祉ガイド 令和3年4月版』ならびに厚生労働省資料を元に作成しました。


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