遺族年金のしくみと手続~詳細版|#14夫の死亡時に市会議員であった妻は遺族厚生年金を受給できるか
今回は、夫の死亡時に市会議員であり、幼稚園経営者である妻の遺族厚生年金の請求について、ご紹介します。妻は、現状では収入要件の基準額以上の収入を得ています。しかし、市会議員に次期は立候補しないことを表明しており、近い将来、基準額の収入を得られなくなると主張しています。これをどう判断するのかが、本事例のポイントです。
B子さんからの遺族厚生年金の請求
老齢厚生年金の受給権者であったA夫さんが死亡したとのことで、妻のB子さんから、遺族厚生年金の請求の相談を受けました。B子さんはX市の現職市議会議員で、幼稚園をA夫さんと共同経営していました。
老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、死亡した者の配偶者であって、死亡者の死亡の当時、死亡者によって生計を維持した者は、請求により各要件を満たしていれば、遺族厚生年金が支給されます。
死亡者によって生計を維持した配偶者とは、死亡者と生計を同じくしていた配偶者であって、年額850万円以上の収入または年額655万5000円以上の所得(以下、「基準額」という。)を将来にわたって有すると認められる者以外の者とされています※。
※厚年法第58条第1項第4号、第59条、厚年法施行令第3条の10、「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」平成23年3月23日年発0323第1号厚生労働省年金局長通知(以下「23年通知」という。)
本件においては、A夫さんが死亡の当時、老齢厚生年金の受給権者であったこと、B子さんがA夫さんの妻であり、A夫さん死亡当時、A夫さんと生計を同じくしていたことについては、持参された戸籍謄本等から明らかです。
ポイントは、B子さんがA夫さんの死亡の当時、「基準額以上の収入または所得を将来にわたって有すると認められる者以外の者」と認められるかどうか、です。
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