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私的年金に関する意識とニーズを初調査――生活設計と年金に関する世論調査

内閣府は3月1日、「生活設計と年金に関する世論調査」結果を公表した。この調査は、今年行われる財政検証と今後の年金制度改正についての検討材料として、国民の意識やニーズを把握することを目的に実施された。これまで類似調査として公的年金に関する世論調査を行ってきたが、今回は初めて私的年金に関する意識やニーズについての調査項目が加えられた。

老後の生活設計のなかにおける公的年金の位置づけについては、総数で「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」が53.8%と最も多く、次いで「全面的に公的年金に頼る」が26.3%となったが、年齢層が上がるにつれて「全面的に公的年金に頼る」割合が高くなる傾向となった。

公的年金制度について信頼している情報源については、「厚生労働省や日本年金機構の広報やセミナー」が43.1%と最も高く、次いで「テレビやラジオで放送されている情報」が41.9%、「新聞・ニュースサイトの記事や雑誌」が40.0%と4割を超えた一方、「職場から提供される福利厚生に関する情報やセミナー」は15.3%、「ファイナンシャルプランナーなどの専門家や、金融機関からの情報」が9.5%だった。

老齢年金の仕組みや役割について知っていることは、「学生を含めた20歳以上の国民は、国民年金に加入する義務がある」が82.0%、「本人の希望により60歳から75歳の間で受け取り始める時期を選択できる」が73.0%と高かったのに対し、「「ねんきんネット」という、年金記録や、将来受け取る年金の見込額などご自身の年金に関する情報をパソコンやスマートフォンから、手軽に確認できるサービスが活用できる」が30.2%、「「公的年金シミュレーター」という、働き方・暮らし方の変化に応じて将来受給可能な年金額を簡単に試算できるツールが活用できる」が8.4%にとどまる結果となった。

私的年金制度への意識・ニーズについては、知っている私的年金制度は「国民年金基金」が56.1%、「厚生年金基金」が53.2%、「iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金」が32.5%、「企業型DCとも呼ばれる企業型確定拠出年金」が23.5%、「知っている制度はない」が19.4%、「DBとも呼ばれる確定給付企業年金」が14.2%の順となった。

私的年金で改善を要望する点については、「手続きをより簡単にしてほしい」が36.2%、「公的年金・私的年金を併せて自分の年金情報を確認できるツールがほしい」が31.0%、「手数料をより安くしてほしい」が21.9%、「十分な資産形成のため、掛金の拠出限度額を引き上げてほしい」が19.8%などの結果だった。

図表はすべて内閣府資料より。

調査結果について厚生労働省は、公的年金については前回の類似調査から大きく変わったところはなかったことや、公的年金・私的年金ともに調査項目によっては世代間で意識の違いがあること、私的年金についてはわかりやすい制度や手続きの簡素化といったニーズがあったため、利用しやすい制度にしていくことが重要だとした。また、厚生年金基金と厚生年金、私的年金の種類の区別がついていない人がいる可能性が高いため、調査結果を額面通りには受け取れない側面もあるとしている。


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