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雇用保険の適用拡大を労政審がおおむね了承―今後は適用基準とされる週所定労働時間が論点

厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会は11月22日、これまで適用対象とされていなかった週所定労働時間20時間未満の労働者に対し、雇用保険の適用を拡大する方針をおおむね了承した。

週10時間以上までの適用拡大で最大500万人が新規適用

今後は、適用基準とする週所定労働時間をどこまで引き下げるかが論点だ。
週20時間未満で就労する労働者は直近(2022年)で約718万人いるが、週10時間以上まで適用拡大した場合は最大で約500万人、週15時間以上まで適用拡大した場合は最大で約300万人が新規に適用される見込み。
同省は、給付と負担のバランス、申請手続等を含む事業主の負担、被保険者の増加に伴う制度運営コスト等を踏まえ検討し、2028年度までの適用拡大に向けて、来年の通常国会に改正法案提出をめざす。

新たに適用される被保険者は、現行の被保険者と同様に、失業等給付(基本手当、教育訓練給付、介護休業給付など)、育児休業給付、雇用保険二事業の対象とする。一方で、保険料率などについても同水準とする方針だ。

被保険者期間の算定基準や賃金日額の下限額なども検討必要

適用拡大に伴い、週所定20時間以上の労働者を基準として設定されている被保険者期間の算定基準、失業認定基準、賃金日額の下限額及び最低賃金日額についても見直しが必要となる。また、現行のマルチ高年齢被保険者(マルチジョブホルダー制度による被保険者)に対しても1事業所のみで適用される可能性があるなど、影響が及ぶことが見込まれるため対応を検討する。

このほか、現行で暫定任意適用事業とされている個人事業で常時5人未満を雇用する農林水産業の取扱いも論点とされた。総務省の労働力調査によると、農林水産業で従業員1~4人規模の事業者に雇用されている労働者は約16万人とされるが、法人経営も含まれている。まずは実態把握を進め、将来的な適用拡大に向けて検討していく方針が確認された。


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