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厚労省が家事使用人(家政婦)の実態調査結果を労政審に報告

厚生労働省は8月1日、労働政策審議会労働条件分科会を開催し、家事使用人に係る実態調査結果を報告した。
家事使用人(家政婦)については、個人家庭と契約してその指揮命令の下、家庭内で家事等に従事することから、雇主及びその家族の私生活と密着している点で、指揮命令関係が通常の労働関係とは異なるとして、労働基準法の適用除外(法第116条第2項)とされている。
だが、長時間の家事労働の末に亡くなった当時68歳の女性が過労死だと認められなかったのは不当だとして女性の夫が国の処分取り消しを求める訴訟が提起されるなど、家事使用人の過重労働に対する法規制の課題等が指摘されるなか、加藤勝信厚生労働大臣が令和4年10月14日の会見で家事使用人の実態調査を行う方針を表明。その結果を踏まえて、必要であれば検討を行う考えを明らかにしていた。

家事使用人はほぼ「60歳以上の女性」が担っている

調査によると、家事使用人はほぼ「60歳以上の女性」が担っている実態があり、性別は女性が98.8%を占め、年齢別の割合は60歳代が27.4%、70歳代が50.1%、80歳以上が7.3%と60歳以上で8割以上(84.8%)を占めている。

勤務形態としては主に「通勤」が83.8%、主に「泊まり込み」が8.9%、「両方(通勤・泊まり込みが同程度の頻度)」が6.0%となり、約15%が泊まり込みで働く実態がある。

登録している職業紹介所数は、「1か所」が約9割(87.6%)を占めるが、家政婦(夫)としての勤務先は「1件」が47.5%、「2件」が26.7%、「3件以上」が22.0%と、約半数が複数の勤務先(個人家庭)で働いている。

休憩時間は「ない」が約半数

1日あたりの平均勤務時間(休憩時間除く)は「5時間未満」が57.4%を占めているが、「5時間以上10時間未満」が23.0%、さらに「10時間以上」も13.2%と1割を超える。1週間単位で見ると、「10時間未満」が35.5%、「10時間以上20時間未満」が26.7%、「週60時間以上」は2.9%となった。

一方で、休憩時間は「ない」が47.1%と約半数を占め、1日当たりの平均勤務時間別では「5時間以上10時間未満」の27.2%、「10時間以上」の33.0%が「休憩時間はない」と回答した。

深夜22時以降の労働は、「よくある」「ときどきある」の合計が約2割(19.9%)。契約で決められた勤務時間以上に働くこと(残業)も「よくある」「ときどきある」の合計が約2割(20.8%)となった。

業務中に病気やけがをした経験は「はい」が15.2%。労災保険に「特別加入している」は34.3%、「特別加入していないは」43.1%、「分からない」が13.2%だった。

トラブルは「特にない」が66.4%

働く中でのトラブルは66.4%が「特にない」と回答。一方、トラブルがあった人の内容としては、多い順に「契約の範囲外の業務を命じられた」(5.8%)、「パワハラを受けた」(5.5%)、「業務で求められる水準が高すぎる」(4.9%)、「家庭からいきなり契約を切られた」(4.5%)、「セクハラを受けた」(3.0%)となった。

調査は令和5年1月末から3月にかけて、全国の家政婦(夫)紹介所に登録され個人家庭と契約して働いたことのある家事使用人を対象に、全国の541紹介所を介してアンケート調査票9,220部を配布。有効回収数は1,997部(有効回答率21.7%)だった。

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