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存続厚生年金基金の取り扱いを検討―社保審企業年金・個人年金部会

厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会(森戸英幸部会長)は1月29日、「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(健全化法)に関する検討を開始した。
同法附則2条には、本年(2024)年3月末までに、存続厚生年金基金が解散または他の企業年金制度に移行するよう検討し、速やかに必要な法制上の措置を講じると規定されていることから、その対応などが論点とされる。同省は、3月末までに部会としての中間とりまとめを行う方針だ。

健全化法附則 出所:厚生労働省社会保障審議会企業年金・個人年金部会(令和6年1月29日)
法附則第2条への対応の論点 出所:同上

現存する5基金はいずれも財政状況は良好で、4基金が存続の意向を示している(1基金は代行返上の意向)。この状況について委員からは、退職金などの労働条件との関連性も強く、無理に解散や制度移行を進めるのは困難との意見が多く見られた一方で、維持にかかる行政コストとの見合いや、代行資産を保持して厚生年金本体以上の給付を行うことの妥当性の観点から、粛々と解散または制度移行に向けた対応を検討すべきとの意見も見られた。

さらに、森戸部会長は個人の見解としながら、法附則2条は解散または制度移行の方向で措置を講じるべきと解釈できるとした上で、現存基金が存続の意向を示しているからと言って認めるのは法の趣旨とは異なるとし、廃止に伴う受給者の財産権侵害などのリスクは、他制度への移行方法を工夫することで検討できるとの意見を示した。


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