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時々刻々|#6 新しい社会と社会保障――『年金時代』の社会の見方について

年金時代編集長

新型コロナウイルス感染症と折り合いをつけたウィズコロナに向けて、社会(世界)はどう変わろうとしているのでしょうか、あるいはどう変えていくことが求められているのでしょうか。

これまで『年金時代』では、年金制度を中心に国の社会保障を取り扱ってきました。そして、持続可能な社会保障のあり方について考えてきました。『年金時代』に連載企画(「謎の新興国アゼルバイジャンから」)を執筆いただいていた香取照幸さんは、その著書『民主主義のための社会保障』(東洋経済新報社、2021年)において、社会保障について、次のように言っています。

「社会保障の最も大事な機能は、市民が直面する様々な生活上のリスクを社会連帯の仕組みを通じて軽減することで市民が貧困や生活困窮に陥ることを防ぎ(=防貧)、社会の安定を図る(=民生の安定)とともに、市民一人一人が思い切って自分の可能性に挑戦できるようにすること、すなわち「市民の自己実現への営為」を支えることにあります。

このことは、社会保障のもう一つの重要な機能である「社会の持続的な発展に寄与する」ことに繋がります」(同書17-18頁)

そして、同書の最後のほうでは、

「21世紀の世界経済が直面している大きな課題は「格差」です。……私(香取氏)は「自由と民主主義」に基本的価値を置く西側社会の一員であるこの国を守り、再び愚かな争いに世界を巻き込まないためにも、社会を分裂させ、民主社会の基盤を掘り崩す「格差の拡大」に逃げずに正面から立ち向かわなければならないと思っています」(同書290頁)

と、格差に対峙する決意を語っています。

社会における「防貧」、「民生の安定」、「市民の自己実現への営為」、そして「社会の持続的な発展への寄与」ということを重要な機能とする社会保障なのですが、それが拠って立つ「社会」(あるいは国家)というものがどう変わるのか、どう変わることが求められているのか。

そして、社会のあり方ということでは、菅総理は、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロとするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す、と言っています。

ウイズコロナ、カーボンニュートラル、そして、格差の解消を目指す社会をどう展望していくか。『年金時代』では、コロナについては「民主主義」、カーボンニュートラルでは「地球環境危機」、そして、格差についてはそれを生み出す「資本主義」ということもテーマに取り上げ、新しい社会のあり方を考えていきます。

<了>

年金時代編集長(ねんきんじだいへんしゅうちょう)
1991年(株)社会保険研究所入社。『月刊年金時代』編集・記者を担当。2017年4月ウェブサイト『年金時代』を開設、編集長に就任。このほか『年金マニュアルシート』(著者:三宅明彦社労士)などの年金相談ツールの開発・編集・発行に携わる。




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