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令和5年度最低賃金改定に向け労使が意見表明―中賃審・目安小委員会

厚生労働省は7月12日、中央最低賃金審議会・目安に関する小委員会を開催した。この日は、令和5年度最低賃金改定に向けて労使の代表がそれぞれ意見を表明した。

賃上げが物価上昇に追いついていない

労働者側代表は、昨今の賃上げの流れを幅広く波及させるためにも、最低賃金の大幅な引き上げが必要と主張した。
連合が7月5日に公表した今春の賃上げの最終集計によると、賃上げ率は3.58%と30年ぶりの高い水準が実現したものの、直近の毎月勤労統計調査では実質賃金のマイナスが続いており、賃上げが物価上昇に追いついていないと指摘。物価上昇が最低賃金近傍で働く人の生活を圧迫しており、物価上昇率を考慮した最低賃金引き上げが必要と訴えた。
また、最低賃金の地域間格差(最大219円)が地方部から都市部への労働者流入、地域経済低迷の一因となっているとして、格差解消を求めた。

厳しい経営状況を踏まえた納得感のある審議を

一方、使用者側代表は、春闘における賃上げは、労働力需要が逼迫し、人材確保・定着を図る必要から、業績が回復していないにもかかわらず賃上げを実施した企業が少なくないと指摘。また、令和4年度の最低賃金引き上げにおける影響率(改正後の最低賃金額を下回ることとなる労働者の割合)は約2割(19.2%)に及ぶなど年々上昇しており、特に中小企業の経営に対する影響は否めないと主張した。
その上で、全国加重平均1,000円以上をめざし、さらに地域間格差の是正を図る観点から、最低賃金を引き上げること自体には賛同するものの、厳しい中小企業の経営状況を踏まえた納得感のある目安審議を求めた。

小委員会は7月20日にも3回目の会合を開き、7月末を目途に最低賃金改定の目安額の取りまとめをめざす。


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