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小規模多機能の登録定員等を標準基準に緩和へ(6月25日)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は25日、小規模多機能型居宅介護の登録定員等について、現行の「従うべき基準」から「標準基準」に緩和する省令改正の諮問案を了承した。同日、社保審としても了承する旨を田村厚労大臣に答申した。改正省令は8月26日に施行される予定だ。

小規模多機能の登録定員や1日当たりの通い・泊りの利用定員は現行では「従うべき基準」となっており、条例で定める同サービスの基準の内容は全国一律になっている。これを令和3年度介護報酬改定に関する審議報告を踏まえて「標準基準」にする。標準基準では、合理的な理由がある場合、地域の実情に応じて条例で異なる内容を定めることが可能であり、基準を緩和できる。

基準の緩和は地方分権改革に関する提案で要望され、令和3年報酬度改定について審議した分科会で議論され、審議報告に盛り込まれていた。

地方からは要望の理由として「通いと泊りの1日当たりの利用定員を超えても適切にサービスを提供できる事業所があるにも関わらず、当該定員の上限が設けられているために利用者のニーズに応えられないケースも生じている」などとしていた。

基準の見直しに当たり事前に法改正も必要であり、今通常国会で成立した地方分権一括法により介護保険法も改正され、5月26日に公布された。改正省令は、パブリックコメントを経て、8月上旬に公布され、地方分権一括法と同じ8月26日に施行される予定だ。

小規模多機能の趣旨を踏まえて定員を判断するように要請

6月25日の分科会は持ち回りにより開催された。

日本医師会の江澤和彦委員は、「(小規模多機能は)利用者と職員がなじみの関係を築くために、登録定員、通い・泊りの利用定員の上限が定められており、その趣旨に鑑み、本来の理念と役割が発揮されるよう、適切な規模を検討すべき」との意見を提出した。同趣旨の意見が複数の委員から寄せられた。

田中分科会長も小規模多機能の趣旨を考慮して定員が定められていることを踏まえて自治体で適切に判断するよう要請。さらに厚労省に対しても施行後の状況を把握するよう求めた。

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