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ILO基準の社会保障給付費では「年金」が244億円減少

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は7月30日、令和4年度社会保障費用統計を公表した。社会保障費用統計は、OECD(経済協力開発機構)基準による「社会支出」、ILO(国際労働機関)基準による「社会保障給付費」と「社会保障財源」、EU(欧州連合)基準による「社会保障財源」として取りまとめている。社会支出には、社会保障給付費と比較して、施設整備費や管理費など直接個人には帰着されない支出が含まれる。

OECD基準の社会支出を見ると、社会支出の総額は142兆3,215 億円となり、前年度よりも6,683億円(0.5%)減少した。一人当たりの社会支出は113万9,100円で、前年度より300円(0.03%)減少した。
政策分野別に見ると、「保健」が61兆9,775億円と最も大きく、次いで「高齢」48兆9,733億円、「家族」11兆2,086億円となった。前年度よりも増減額が大きかった政策分野は「保健」で1兆4,565億円(2.4%)増加した一方で、「積極的労働市場政策」で1兆5,437億円(48.0%)減少、「家族」で1兆1,808億円(9.5%)減少した。

ILO基準の社会保障給付費を見ると、社会保障給付費の総額は137兆8,337億円となり、前年度よりも9,189億円(0.7%)減少した。一人当たりの社会保障給付費は110万3,100円で前年度よりも2,400円(0.2%)減少した。部門別では、「医療」が48兆7,511億円、「年金」が55兆7,908億円、「福祉その他」が33兆2,918億円となった。前年度からの増減額は「医療」が1兆3,306億円(2.8%)増加し、「年金」が244億円(0.04%)減少、「福祉その他」が2兆2,251億円(6.3%)減少した。「年金」の減少について社人研は、年金額がマイナス改定されたほか、受給者数の減少や、特別支給の老齢厚生年金の男性の報酬比例部分が64歳からの受給になったことが影響したとしている。

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