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「介護離職ゼロ」を目指す在宅支援サービスについて議論(7月8日)part3

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は7月8日、令和3年度の介護報酬改定に向けて6サービスについて議論を深めた。そのうち5サービスは「介護離職ゼロ」を目指すうえで重点的に整備を目指す方針が示されている。

part3では、認知症グループホームと特定施設入居者生活介護について主な論点と議論を紹介する。

Part1はこちら » 同一建物減算は「移動時間」に着目した検討を

グループホームについてICTを活用した場合の夜勤の配置基準の緩和が関連団体から要望されていることが示されたが、賛否両論が出された。特定施設については、看取りの推進等で、介護保険の訪問看護によるサービス提供を可能とするよう求める声があがった。

ICTを活用した場合の夜勤の配置基準の緩和で賛否

「認知症グループホーム」の請求事業所数は平成31年4月審査分で1万3674事業所。事業所及び受給者数など年々増加傾向だ。

運営上の問題として、管理者について管理者研修の修了者である必要があるが、管理者交代時期に研修が開催されていないと受講できずに管理者に就任できないケースがあることを報告された。代表者や計画作成担当者では、交代時の取扱いが弾力化されている。

東京都から、用地確保難などを理由に認知症グループホームにおけるサテライト型の創設による人員等基準の緩和を行うことが要望されていることが示された。現行では、地域密着型特養や老健施設、小多機、看多機にてサテライト型施設の導入されており、人員・設備基準の一部が緩和されている。

日本認知症グループホーム協会からは、2~3ユニットのホームで見守りセンサーを活用した場合に夜勤者1名と宿直者1名に、夜勤の配置基準を緩和することが求められていることも紹介された。火事等への配慮から通常1ユニットに1名の夜勤者が必要とされている。特養などのユニット型では2ユニットごとに1名以上で可能とされている。

認知症グループホームは、運営推進会議による評価と都道府県が指定する評価機関による外部評価が義務付けられている。外部評価では評価手数料が発生している一方、手数料価格は地域や評価機関によって差が生じていることが報告された。

地域密着型サービスで外部評価を行うサービスとしては、小多機や看多機、定期巡回・随時対応サービスがある。小多機や看多機では運営推進会議において第三者の観点からサービス評価を行うことが義務付けられており、評価手数料は発生しない。また定期巡回・随時対応サービスでも関係者による介護・医療連携推進会議で評価を行っている。

厚労省は、こうした状況を踏まえて意見を求めた。

認知症グループホームの夜勤でICTを活用した場合の職員配置の緩和について、日本経団連の井上委員は賛意を表明。日本慢性期医療協会の武久洋三委員や全老健の東委員などがグループホームへのスプリンクラーの設置が進んでいることなどを踏まえて、積極的な検討を求めた。

一方、日看協の岡島委員は、「ICT促進で本当に人員の削減が可能か慎重な議論が必要だ。利用者の安全確保の観点から、議論をつくしてほしい」と訴えた。日本医師会の江澤和彦委員や連合の伊藤委員もケアの質の確保の観点から慎重な検討を要請した。

また民間介護事業推進委員会の今井委員は、サテライト型の導入を支持した。

そのほか、日医の江澤委員などが外部評価の手数料のバラつきなどを問題視。今後、さらに検討を深める意向を示した。

特定施設での看取り等の推進で訪問看護の利用を可能に

「特定施設入居者生活介護」の請求事業所数は平成31年4月審査分で5587事業所になっている。

整備は三大都市圏を中心に進んでいる。また▽入居者の半数弱が要介護3以上であり、重度者の受け皿としての役割を果たしている▽契約終了のうち半数以上が死亡退去であり、終の棲家としての機能を果たしている─などの状況が紹介された。

そのうえで厚労省は、特定施設入居者生活介護について、「終の棲家としての役割を果たすための看取等の推進や、業務負担を軽減するためのICT等の活用の促進など、どのような方策が考えられるか」などと議論を求めた。

日医の江澤委員は、グループホームや特定施設における看取り等の推進の観点から、両サービスに介護保険の訪問看護や訪問リハビリによるサービス提供を可能とすることを主張した。さらに、江澤委員と全老健の東委員は、特定施設における福祉用具貸与の利用を認めるように訴えた。

神奈川県の水町参考人は、特定施設でのACPの推進でガイドラインを踏まえた取り組みについて一定の研修を受けた人を配置した場合の体制加算を導入することを提案した。

日本経団連の井上委員は、ICTの活用の具体的な事例に触れ、「横展開を図ってほしい」と求めた。

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