
日医松本会長、8年度診療報酬改定に向け物価・賃金上昇対応の仕組み求める(2025年1月8日)
日本医師会の松本吉郎会長は、8日の定例会見で令和8年度診療報酬改定に向け、物価・賃金の上昇に対応する新たな仕組みを求める考えを示した。
松本会長は、医療界における重要課題の一つとして「令和8年度診療報酬改定に向けた議論」を挙げた。現在、インフレ下の物価・賃金の上昇に診療報酬改定が追いついていない状況を指摘し、「今年は物価・賃金の上昇に応じて適切に対応する仕組みを求めていきたい」と語った。また、「医療機関の経営状況が著しくひっ迫している現状を考慮すると、まずは補助金による迅速な対応が必要だが、場合によっては令和8年度改定を待たずに期中改定も視野に入れる必要がある」とも述べた。
「新たな物価・賃金の上昇に応じた仕組みは、公的年金の物価スライド方式のようなものか」という質問に対しては、「現時点では物価高騰をどの程度収入に反映させるかといった具体的な数式がないため、分析が必要だ。ただし、物価高騰や賃金上昇に負けないスライド方式をイメージしている」と説明した。
一方、社会保障予算の目安対応については、「税収に基づく財政フレームの見直しが必要だ。特に『高齢化の伸びの範囲内に抑制する』という現在の枠組みを廃止し、物価・賃金の上昇を考慮した新たな仕組みに改める必要がある」との見解を示した。その上で、「医療・介護業界でも他産業並みの賃上げが可能となるよう、『骨太の方針』に向けた別次元の対応を働きかけていく」と強調した。
このほかの重要課題としては、▽7月の参院選挙▽医療法等改正による新たな地域医療構想と医師偏在対策▽かかりつけ医機能報告制度の施行――をあげた。