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訪問介護での看取り期の評価の導入を提案(10月22日)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は10月22日、令和3年度の介護報酬改定に向け訪問系サービスについて検討した。

訪問介護について厚労省は、新たに看取り期の評価を導入することを提案した。複数の委員が導入を支持した。

病院間の通院等乗降介助を可能に

訪問介護について厚労省は、新たに看取り期の評価の導入を提案(訪問入浴介護も同様)。現行では訪問(入浴)介護には、看取りに関する加算は存在しない。

意見交換で、日本介護福祉士会の藤野裕子委員は賛意を表明。「看取り期には医療・看護のみならず、介護の専門性が必要とされる場合も多い。人生の最終段階におけるガイドラインを理解し、多職種チームの一員としてのケアが求められる。それらを理解し、ケアに取り組んでいる現場への評価が必要」とした。

全国老人福祉施設協議会の小泉立志委員は評価を設定することを支持。さらにACP(アドバンス・ケア・プランニング)の実施を算定要件にすることを指摘した。神奈川県の水町友治参考人もACPの研修を受けた者の配置を要件にするよう提案した。

一方、日本医師会の江澤和彦委員は、「医師や看護職員、医療系職員が不在の事業所でしっかりとした対応ができているか検証が必要ではないか」と提起。さらに介護職員向けの研修の必要性を指摘し、特に意思決定支援の重要性を強調した。

その他、厚労省は、訪問介護の通院等乗降介助について、居宅が始点又は終点になる場合は、複数病院間の移送や、通所系等事業所から病院への移送でも算定を可能にすることを提案。複数の委員が賛意を示した。

また質の高いサービスを提供する事業所を評価する特定事業所加算について、算定すると区分支給限度基準額を超える利用者が出てしまうことから要件を満たしていても算定できない事業所が一定数存在することを報告。

同加算を区分支給限度基準額に含めないことを提案。複数の委員が賛意を示した。

生活機能向上連携加算については、加算Ⅱについて、サービス提供責任者とリハ専門職がそれぞれ利用者宅を訪問した上で協働してカンファレンスを行う要件に関して、利用者・家族も参加するサービス担当者会議によることを提案。定期巡回・随時対応型訪問介護看護や小規模多機能型居宅介護も同様にすることとした。

複数の委員が賛意を表明。全国老施協の小泉委員は、「カンファレンスとサービス担当者会議を同時に実施できるような合理化は実施すべき」と述べた。

  他方、訪問入浴介護について厚労省は、①訪問入浴介護の清拭又は部分浴を実施した場合の減算幅の見直しと、②新規利用者について、他の訪問系・多機能系サービスにおいて初回・初期の対応に係る加算制度が置かれていることも踏まえつつ、新規利用者へのサービス提供に際しての対応を評価することの2点を提案。分科会は概ね了承した。

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