
厚労省雇用環境・均等局長が年頭所感でモデル事業踏まえ労協活用促進への取組を表明
令和7年 年頭所感
厚生労働省雇用環境・均等局長 田中 佐智子

新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
皆様には、日頃から雇用環境・均等行政の推進に御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
(略)労働者協同組合については、施行から2年経過し、現在百を超える法人が設立されていますが、各法人が労働関係法令をはじめとする各種法令などを遵守しながら、多様な働き方を実現しつつ、地域社会の課題解決に取り組むための手段の一つとして社会的に定着するよう、本年度から開始された労働者協同組合活用促進モデル事業の実施状況も踏まえながら、労働者協同組合の活用促進に取り組んでまいります。
(略)
*労働者協同組合に関連する部分を抜粋掲載(編集部)。
令和7年度予算案に「労働者協同組合の活用促進事業」8千万円
厚生労働省は、令和7年度予算案に「労働者協同組合の活用促進」として8千万円を盛り込んだ。この事業の目的は、
①労働者協同組合制度の周知・広報
②労働者協同組合の利用促進を図る創意工夫ある地域の取組への支援
③その他円滑な労働者協同組合法の施行のために必要な事業の実施
具体的には、令和7年度は法施行から2年半が経過したことを踏まえ、
①全国で設立された労働者協同組合の活用事例の紹介
②組合設立や運営に必要な労務管理等の知見の提供
③NPO法人等から労働者協同組合への組織変更を希望する者への情報提供・発信
——等を行っていく。
また、労働者協同組合では、働き方や仕事内容を組合員全員で話し合って決めることを通じて、多様な働き方ができる職場環境を整備し、それまでの職場では働くことがむずかしかった、ひきこもり経験者など働きづらさを抱える方々や、女性、中高年齢者などに対して、雇用機会の創出につながる取組が生まれてきている。そこで、厚労省では、こうした取組をさらに全国各地に広げていく観点から、地域における労働者協同組合の活用促進を図る創意工夫ある取組を支援し、各地域で展開できる優良なモデルを創出するため、令和6年から3カ年の労働者協同組合活用促進モデル事業を実施している。
このモデル事業には、
①神奈川県労働者協同組合促進協議会
②ふくい協同労働推進協議会
③長野県労協活用促進協議会
④三重県労協活用促進地域連携協議会
⑤徳島県労協活用促進協議会
——の5協議会を委託先として令和6年7月に決定。8月から各協議会ではモデル事業に取り組んでいる。
モデル事業の委託先の一つである神奈川県労働者協同組合促進協議会では、「労働者協同組合活用促進を通じた、地域課題の解決に向けた担い手づくりと雇用機会の創出」を目的に、
①労働者協同組合が地域の課題解決のために役立つことを市民に周知
②就業や社会参加を希望する者に対して、「協同労働」を活用して地域課題の解決に取り組むことを促進し、地域コミュニティの再生及び地域共生社会を実現
③協同労働の社会的価値を認識してもらうため、職業体験(インターンシップ)などの実施
④就労希望者には、労働者協同組合や連携する企業へのマッチング
⑤労働者協同組合法を活用して仕事おこしへ取り組む団体・個人の支援
⑥働き方に多様性の普及や非営利組織であることの社会的価値のブランディング化
⑦モデル事業終了後も継続して連携するため、ネットワークの構築
——などに取り組んでいる。
事業主体は、自治体では神奈川県産業労働局労働部雇用労政課/横浜市。社協では横浜市社会福祉協議会。労働者協同組合では労働者協同組合 ワーカーズコープ・センター事業団神奈川事業本部/神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会/TNG労働者協同組合/労働者協同組合キフクト。協同組合では神奈川県農業協同組合中央会/神奈川県生活協同組合連合会。労働関係団体では神奈川県労働者福祉協議会が名を連ねている。
主な事業内容としては、①労働者協同組合フォーラムの開催②相談窓口の設置③ワークショップの開催④就労のためのマッチング支援⑤労働者協同組合寄付講座⑥神奈川県労働者協同組合ネットワーク設立準備——などに取り組んでいる。
厚労省では、令和7年はモデル事業実施2年次となり、国がモデル地域とした選定した5県に設置の協議会における労働者協同組合の活用を通じて、個々の事情に応じた多様な働き方が可能となる環境の整備や、働きづらさを抱える方々や女性、中高年齢者などの多様な雇用機会を創出する創意工夫ある地域の取組を支援し、全国展開を図っていく。