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#12 年金受給中の課税と確定申告

公的年金等を受給している人は、確定申告の時期が近づいてくると、確定申告したほうが良いのか、それともしなくても良いのか…と悩まれる人もいらっしゃると思います。
あらかじめ「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」(以下、「扶養親族等申告書」という。)を提出していれば、原則として確定申告は不要です。
ところが、扶養親族等申告書を提出していても確定申告が必要なケースもあります。
今回は、年金受給中の課税と確定申告について、ご説明しましょう。


扶養親族等申告書とは

公的年金等は、所得税法の規定により、「雑所得」として、その支払いを受ける際に所得税および復興特別所得税(以下、「所得税」という。)の源泉徴収が行われます。
公的年金等とは、国民年金や厚生年金保険、共済組合から支給を受ける老齢年金、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金などをいいます。
なお、生命保険契約や生命共済契約に基づく年金などは、公的年金等には該当しません。
毎回支給される年金から源泉徴収される所得税について、配偶者や扶養親族などいる人は、配偶者控除、扶養控除など各種控除を受けるために、必要な手続きが「扶養親族等申告書」の提出です(図表1参照)。

【図表1】

日本年金機構ホームページより

したがって、扶養親族等申告書を提出していない場合には、各種控除を適用していないで計算した所得税が源泉徴収されることになります。
公的年金について源泉徴収の対象となる人に対しては、毎年、日本年金機構から「扶養親族等申告書」が送付されます。

所得税の課税対象となる人は、次の➀~➂に該当する老齢年金を受給している人です。
➀ 65歳未満の人は、支払金額が年額108万円以上
➁ 65歳以上の人は、支払金額が年額158万円以上
➂ 退職共済年金の受給者で老齢基礎年金を受給している人は、退職共済年金の支払金額が年額80万円以上

なお、上記➀~➂に該当しない人や、非課税である障害年金や遺族年金を受給している人は、源泉徴収されないため、扶養親族等申告書は送付されません。
また、年金を受給している本人が障害者・寡婦などに該当せず、控除対象となる配偶者または扶養親族、または退職手当等を受ける見込みのある配偶者または扶養親族がいない人も提出が不要です。

扶養親族等申告書の提出は期限内に

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