介護保険部会に意見書素案示す(12月16日)
厚労省は12月16日、社保審・介護保険部会に「介護保険制度の見直しに関する意見」(素案)を示した。
この日の議論も受けて加筆修正された案が今後、示される。 素案では、これまで議論してきた内容を、①介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)②保険者機能の強化③地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)④認知症施策の総合的な推進⑤持続可能な制度の構築・介護現場の革新⑥その他の課題─の6項目に整理した。
このうち①介護予防・健康づくりの推進で、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)について言及。総合事業の対象者や国がサービス価格の上限を定める仕組みについて「弾力化を行うことが重要」と指摘した。 住民主体の多様なサービスの展開のため、有償ボランティアに係る謝金を支出できるようにすることや、人材確保のためのポイント制度等を創設するなど、総合事業の担い手を確保するための取り組みを進めることが必要であるとした。
②保険者機能の強化では、保険者機能強化推進交付金について「介護予防や高齢者の活躍促進等の取組を一層推進するため、抜本的な強化を図ることが必要」と指摘。予算額の増額と毎年度の安定的な財源の確保を求めた。さらに「財源を介護予防等に有効に活用するための制度枠組みを構築することも必要」とした。
意見交換で全国町村会の藤原忠彦委員は、総合事業について対象者やサービス価格の上限の弾力化や有償ボランティアへの謝金の支出などが素案に盛り込まれたことに言及。「総合事業の事業規模の拡大要因になる。現行の上限の枠内での事業実施には限界があるのではないか」と指摘した。
一方、協会けんぽの安藤伸樹委員は、総合事業について「国が定めた上限額の中で効果的・効率的に実施すべき」と指摘。対象者の弾力化は「基本的に慎重にすべき」とした。実施する場合は要介護者の状態が維持・改善しているのかなどを検証できる仕組みとセットにすべきとした。