美容医療検討会が報告書案を了承 構成員からは厳しい指摘相次ぐ(2024年11月13日)
美容医療の違法・不適切な事例への対応や消費者保護の仕組みなどを議論してきた厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」(小野太一座長)は、13日に開かれた会合で、報告書を座長一任で取りまとめる方針を確認した。会合では美容医療が多くの場合「自由診療」に分類され、保険診療に適用される医事法制の対象外となっている点について、構成員から多数の意見が出された。一部では意見が錯綜する場面も見られた。
会合では厚労省が提示した報告書案を基に議論が行われ、報告書は大きく2つの柱で構成されている。1つ目は「適切な美容医療を安全に提供するための対応策」、2つ目は「美容医療の質を高め、質の高い医療機関が患者に選ばれるための対応策」だ(下図)。このうち、特に前者について構成員から多くの意見があがった。
厚労省はこれまでの議論を踏まえ、「適切な美容医療を安全に提供するための対応策」に向けた具体的な対応策を以下の4つに整理している。
美容医療を行う医療機関等の報告・公表の仕組みを導入
保健所等による立入検査や指導のプロセス・法的根拠の明確化
診療録の記載の充実
オンライン診療のルールの整理
医師法の枠組みで現状是正を
これらについて、日本医師会常任理事の宮川政昭構成員は「診療録の記載の充実」について問題提起。保険診療と同等の記載基準を求める必要性を強調するとともに、美容医療施術後の副作用や修復対応が保険診療で処理されるケースについて「現状をどのように是正していくのかなどの方向性が見えない」と指摘した。
宮川氏は、報告書案に記載された「美容医療は……『一般的な医療』とは異なる」という文言にも異論を唱えた。「医療と名乗るのであれば医師法の枠組みに入るかがいちばんの論点」とし、利用者を守るためには法的な枠組みの構築が必要だと強調した。また、国内未承認薬の取り扱いについても検討すべきとの見方を示した。
連携医療機関の存在だけでは不十分
国立がん研究センター生命倫理部部長の一家綱邦構成員も、報告書案における合併症・副作用対応の記述に問題を提起。医療機関間の連携について、単に「この医療機関へ行ってください」という指示では不十分で、具体的な連携体制を確立すべきとの考えを示した。
これに対し宮川氏も、修復等の際に保険診療に依存せざるを得ない現状が社会的なコストを生んでいるとして「費用負担は施術を行った医療機関が補償する責任を負うべきだ」と訴えた。
厚労省は、座長預かりとされた報告書案の修正を進め、完成後に社会保障審議会医療部会へ提示する方針だ。