見出し画像

日医の松本会長が新年の所感、トリプル改定「財源確保が重要」(1月11日)

日本医師会の松本吉郎会長は1月11日の会見で、新年に当たっての所感を述べ、今年の重要課題をあげて見解を表明した。

2024年度の診療報酬・介護報酬・障害者福祉サービス等報酬のトリプル改定への対応については、「財源確保が重要な課題になる」と述べた。

松本会長は医療界における重要課題として、①新型コロナウイルス感染症②かかりつけ医機能の制度整備③医療DX④医師の働き方改革、⑤トリプル改定―をあげた。

新型コロナ対策については、「コロナに慣れてきた面もあるので、引き締めるべきところは引き締めるといった基本的な感染防止への対応はこれからも必要。今後、重症化率が高いタイプの新たな変異株に置き換わっていく懸念もある。やはり慎重にコロナ対応には取り組み、引き続き正しく恐れる必要はある」と述べた。

かかりつけ医機能の制度整備については関連法案が通常国会への提出が予定されていることから「今後、議論の場は国会に移る」と強調。その上で、「かかりつけ医はあくまで患者自身が選ぶもので、あらかじめ誰かに決められるものではない。制度で縛っても、決してうまくいかないと私どもは考えている」と述べた。一方、「私ども医師も国民に選ばれるための努力が今まで以上に求められる。自己研鑽に励み、自己の持つ機能を広げ、地域の医療を面として支えるために役割分担をしながら連携していくことが求められる。これを医師会としてしっかりと推進していく」と述べた。

医療DXについては「なるべく早く推進していく必要性は理解できるが、課題も多くあり、拙速に進めることは問題だ。医療現場に無理強いすることなく、インセンティブを示しながらしっかりと進めていきたい」と述べた。

2024年4月から新制度がスタートする医師の働き方改革については、「日医としては医師の健康の確保と地域医療の両立という基本理念のもとで、制度ありきにならないように現場の意見に耳を傾けて、細心の注意を払って取り組んでいく」と述べた。

トリプル改定については「年末の予算編成では財源確保が重要な課題になる。2025年には団塊の世代全員が後期高齢者になることから、医療と介護が連携して全ての世代が安心して暮らせる地域づくりの礎にすべきだ」と訴えた。「まずは2022年度診療報酬改定が医療現場に与えた影響を検証した上で、2024年度改定を考えることが基本だ。国民の健康と命を守るためには国民皆保険の持続性が大変重要である。中医協、医療保険部会、医療部会などで議論を積み重ねて、日医の考えをしっかり主張していく」と述べた。

4月からの薬価改定については「▲3100億円の改定が行われたが、これに対して診療報酬改定で約250億円の対応がされた。薬価改定の後に、一定の財源を技術料として戻してもらったことは、それなりの結果が得られて良かった」と評価した。

会内の最重要課題としては、組織強化をあげた。「日医は、医師個人の資格で加入する我が国唯一の医療界を代表する組織で、医師たるものには全て医師会活動に参画してほしい」と呼びかけた。

現在、10人の常任理事を増員する方針を示した。「今後必要な手続きを経て、早ければ6月の定例代議員会で、新たな常任理事4人を選出したい」と述べた。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。