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謎の新興国アゼルバイジャンから|#62 世界の民主主義は後退しているのか⑴

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時)

*2020年3月6日に「Web年金時代」に掲載されました。

本稿は外務省とも在アゼルバイジャン日本国大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

みなさんこんにちは。
今年の最初の掲載、「新年雑感」の冒頭で、2019年は「私の言葉でいえば「民主主義の強さ」が問われる事件が数多く起こりました」と書きました。

日本は「自由と民主主義という価値観を共有する西側諸国の一員」とみんな思っています(もちろん私もそう思っています)。安倍総理もたびたび公の場でそのように発言しています。

他方で、この連載で何回も紹介しているように、国家の統治のあり方として、「議会や選挙に煩わされる必要のない強い指導者による統治の方が望ましい」と考える人が世界中で増えていて、その傾向は旧東側諸国や新興国でより顕著で、新興国のみならず、北米や西欧のような成熟した民主主義国でもその傾向が見られるようになっています。

果たして世界は、民主主義から遠ざかっていっているのでしょうか。

2020年1月、イギリスの経済誌「エコノミスト」の傘下にある「インテリジェンスユニット」という機関(以下「ユニット」とします)が、「民主主義指数2019」(Democracy Index 2019、以下「民主主義インデックス」または単に「インデックス」とします)というレポートを公表しました。

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