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中川会長がオンライン診療と後期高齢者の患者負担で見解(10月28日)

日本医師会の中川俊男会長は10月28日の会見で、オンライン診療および後期高齢者医療の患者負担のあり方について見解を表明した。

オンライン診療については、受診歴がなく、かかりつけ医からの情報提供もない「新患」は不可と明言。後期高齢者の窓口負担の引き上げについては「限定的にとどめ、同時に低所得者に配慮する必要がある」と述べた。

オンライン診療については、既に日医の基本的な考え方を示しているが、改めて説明。

中川会長は、①定期的な医学管理を行っている患者に対して、かかりつけ医の判断により、オンライン診療を適切に組み合わせる②受診歴のある広い意味でのかかりつけ医の患者に対しては、対面診療と同等以上の安全性・信頼性が確認される場合に、医師の判断により、一時的にオンライン診療で補完する③受診歴がなく、かつかかりつけ医からの情報提供もない「新患」は不可。ただし明確な判断基準の策定・合意の下で可とするケースもあり得る④自由診療は、「オンライン診療指針」あるいは別の規定により厳格な運用必要―の4つの考え方を明らかにした。

「新患」でも認められるケースとしては、①禁煙外来が「定期的な健康診断が行われるなどで疾病を見落とすリスクが排除される場合で、治療によるリスクが極めて低いとして該当②緊急避妊の診療について地理的要因がある場合で、対面診療が困難であるとした場合、研修を受講した医師が初診から診療可能―の2点をあげた。

オンライン診療を推進するためには、「かかりつけ医の不安を取り除き、支援する環境整備が必要」と述べ、医師訴訟や医師のプライバシー流出、システム利活用に対する不安を取り除くことが重要であることを指摘した。

一方、後期高齢者の患者負担割合のあり方については、「保険料や税負担、収入や所得、高額療養費の財政面、高齢者の生活や心身の状態なども十分配慮し、社会保障審議会医療保険部会でていねいに議論を行っていく必要がある」と述べた。

その上で、「コロナ禍での受診控えによる今後の健康への影響が懸念されるところだ。さらなる受診控えを生じさせかねない政策をとり、高齢者に追い打ちをかけるべきではない」と訴えた。

後期高齢者の窓口割合の現状については、「後期高齢者の現役並み所得者は後期高齢者全体の7%であり、負担割合3割。それ以外の後期高齢者は1割負担で、世代内格差がある。しかし、これを是正するにしても、限定的にとどめ、同時に低所得者の負担に配慮する必要がある」と述べ、2割負担の範囲を限定的にすることを主張。

2割負担の対象範囲ついては、「問題は前年の年収の設定をいくらにするかだと思う。今後、日医として意見を発信していきたい」と述べた。

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