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#10 |まずは“債券”を知ろう!

小野田 理恵子(おのだ りえこ)/小野田社労士・FPオフィス代表


「債券」って何ですか?

セミナーで参加者にこう聞かれたり、「債券という言葉は知っていますが、具体的にどんなものかピンときません」などと言われると、自分にとってはいつの間にか当たり前になってしまっていることも一般的にはそうではないことにハッ!とします。

私自身もずっと以前は債券について何の知識もなかったわけで、今回は初心に帰って基本的なしくみや特徴などを解説したいと思います。


以下、<図表1>を参照しながらお読みください。

債券とは、資金を調達したい国、地方公共団体、企業等が、お金を貸してくれる人に対して発行する借用証書のようなものです。債券には利息を支払う時期や利率、満期(返済期限)などの約束事が記載されています(現在は電子化されており、紙の債券は発行されない)。

資産運用の手段としてこの債券を利用したい人は、金融機関を介して債券を購入(=資金提供)し、その後は定期的に利息の支払いを受け、満期日に貸した元本が全額払い戻される(=償還)のが基本的なしくみです(これは利付債と呼ばれるタイプ。他に割引債もあるが、このコラムでは説明を割愛)。

債券を発行する主体を発行体といい、債券には次のような種類があります。

・国が発行する債券→国債
・地方公共団体が発行する債券→地方債
・企業が発行する債券→社債

満期までの期間は、3年、5年、7年、10年など商品によってさまざまで、利率も発行体や商品ごとに違います

債券の特徴

お金を貸している間は毎年利息が受け取れ満期になると元本が全額戻ってくるので、資金計画を立てやすく、定期預金と同じようにも思えます。しかも預貯金よりは利率が高めという魅力もあり、比較的安全性が高い債券は投資初心者向きと言えます。

ただし、ひとつ注意点があります。それは、お金を貸している間に発行体が破綻すると利息や元本が約束通りに支払われない可能性があることです。

一般的に、発行体の財政の安定度が高いほど利率は低い傾向にあり、逆に信用度が劣る発行体の債券は利率が高めになっています。

国や地方公共団体の財政が破綻することは通常は考えにくいので、国債や地方債の利率は低めですが、社債はさまざまな企業が発行しており、その企業の安定度等により利率にかなり差があります。

ご参考までに、私が現在保有している社債のうちの2本を比較します。

A:大手自動車メーカー系の社債。利率0.10%の5年もの

B:以前にネガティブなニュースが報道されたインフラ系の社債。利率0.455%の5年もの

どちらも数年前に購入しましたが、その当時のメガバンクの定期預金金利は0.002%程度でしたので、これらの社債は結構魅力的でした。それで私は「安心感がある一方で利率はそれほど高くない」Aを多めに購入し、BはAの3分の1ほどの購入金額にしました。

財政の安定度と利率のどちらを重視するかが社債を選ぶときのポイントになりますが、私は良いとこ取りやリスクの分散をしたいので、複数の銘柄に分けて持つことを意識しています。それから、次はまったくの余談ですが…

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