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障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 令和6年度改定の議論開始 人材確保が焦点(2023年5月22日)

厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(主査:畦元将吾厚生労働大臣政務官)は5月22日、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の本格的な議論を開始した。物価高が続くなかで事業者が人材を確保するための処遇改善が今回改定の一つの焦点となる。今後、関係団体からのヒアリング等を経て基本的な考え方を取りまとめ、来年2月には報酬改定案を策定する。

4月に創設されたこども家庭庁に障害児支援が移管されたことに伴い、同庁から2名の職員が検討チームの構成員として加わっている。冒頭の挨拶で畦元大臣政務官は、「同時に行われる診療報酬・介護報酬改定と協調して検討を進めていきたい」と述べた。

関係予算15年間で3倍以上

現在わが国の障害者の総数は1160.2万人であり、人口の約9.2%に相当する。居宅介護等のサービスが国の義務的経費とされた平成18年の障害者自立支援法施行以来、障害福祉サービス関係予算額は増加を続け、15年間で3倍以上に増加している(図1)。

図1 障害福祉サービス等予算の推移

総費用額の構成割合をサービス種類別に見ると、デイサービスを提供する「生活介護」(25.6%)、就労機会を提供する「就労継続支援B型」(13.9%)、障害児支援の「放課後等デイサービス」(12.9%)の順に大きい(図2)。

図2 障害福祉サービス等におけるサービス種類別にみた総費用額及び構成割合

障害福祉サービス等報酬の改定率はこれまで、平成30年度改定で+0.47%、令和3年度改定で+0.56%と小幅なプラス基調で推移している。
なお、平成元年10月および令和4年10月には障害福祉人材の処遇改善のための改定が行われている。令和4年改定では、福祉・介護職員の収入を3%程度(月額9千円相当)引き上げる措置を講じるための「福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算」が創設された。

47団体からヒアリング

改定に向けた今後の検討の進め方(図3)としては、まず7月から8月にかけて47の関係団体に対してヒアリングを行う。ヒアリングする意見等については、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関するものとし、より質の高いサービスを提供するためのアイデアや制度の持続可能性を高めるための方策等についても聞く。

図3 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた検討の進め方

ヒアリングの終了後、11月頃に結果がまとまる見込みの「経営実態調査」等の調査結果を踏まえつつ、検討チームは12月を目途に改定の基本的な考え方をまとめる。年末には厚労省と財務省の折衝によって改定率が決まり、これを受けて検討チームは翌年2月に報酬改定案を策定する。その後、厚労省は改定案の内容を踏まえて3月に告示を改正し、令和6年4月から改定後の報酬を適用する。診療報酬と異なり、適用日の後ろ倒しは予定されていない。

 


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