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#28|障害年金受給者の額改定請求(その1)


 障害年金受給者の障害の程度が増進した場合は、障害等級が上位になり年金額が改定されることもあります。その契機となるのは、次の2つです。

①障害状態確認届による改定
○ 障害年金受給者は、その障害が永久に固定と認定されない限り、1~5年の範囲の中で障害の程度の診査を受けます。診査時期になると「障害状態確認届(診断書)」が日本年金機構(又は共済組合等)から送付されますので、それを指定された期日までに提出する必要があります。
○ 厚生労働大臣(又は共済組合等の実施機関)は、提出された診断書に基づ
き保険者は障害状態を診査し、現等級より上位又は下位の障害の程度と認
定すれば、職権で障害等級を改定します。なお、現状と同じ障害の程度と
認定された場合は、等級の変更は行いません。

②額改定請求
○障害年金の受給者は、現在受給している障害年金の障害の程度が増進した
と思われるときには、上位等級に改定して欲しいという請求をすることができ
ます。これを額改定請求と言います。ただし、障害厚生年金(同一支給事由
の障害基礎年金の受給権がない)受給者の場合は、65歳までという請求年齢
制限があります。
○厚生労働大臣(又は共済組合等の実施機関)は、障害年金受給者より提出
された額改定請求に基づき障害の程度を診査した結果、上位等級に該当する
と認定した場合は、障害等級を改定します。なお、上位等級には該当しない
と認定された場合は、等級の変更は行いません。

 以上のような契機で障害等級を改定しますが、頻繁に障害等級の改定を望まれても事務が煩雑になるだけで好ましくはありません。従って、障害等級の改定にはある一定のルールを設けています。
 そのルールを解説しながら、今回は、既に障害年金を受給している人が、障害の程度が増進したと思われるので上位等級に改定して欲しいという事例を検証していきます。

 今回の相談者は、既に障害年金の請求は終わっていますので、その後の話からとなります。難しい説明を理解することがもう本人はできないので、代わりに同居している相談者のご両親が相談に見えられました。

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