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支払基金、原因と再発防止策を報告 オンライン請求でシステム障害が発生(5月31日)

社会保険診療報酬支払基金は5月31日の会見で、システム障害の状況を発表した。オンライン請求システムにおいて、4月受付(3月診療分)と5月受付(4月診療分)についてシステム障害が生じたことを明らかにした。

記者会見で4・5月受付分のシステム障害について説明する支払基金の須田俊孝理長特任補佐=5月31日

4月のシステム障害は、8日13時10分から23時までオンライン請求に接続しても処理完了まで長時間かかった。通常15分の処理時間が2時間かかった医療機関もあった。原因はレセプトを分散して処理するプログラムの不具合で、1台のサーバに処理が集中し遅延した。

このため、三師会あてにオンライン請求期間を12日21時まで延長することを周知。10日の受付締め切り日までに2119医療機関が受付未了となった。

再発防止策として、①レセプトを分散して処理するプログラムの不具合の修正②支払基金のASP処理サーバの性能の増強―をあげた。

一方、5月のシステム障害は、9日8時から10時半まで国保側システムのASP処理で不正常なエラーが多発した。同日10時半から13時まで国保側システムのASP処理を停止し、マスタの入れ替えを行った。国保側システムのASP処理は再開したが、アクセスが集中したことで共同運用されている支払基金のオンライン請求システムネットワークに接続しにくい事象が発生。11日の21時まで正常な処理性能が確保できなかった。

このため、三師会あてにオンライン請求期間を12日21時まで延長することを周知。10日の受付締め切り日までに1万3800医療機関が受付未了となった。

再発防止策として、①診療報酬改正等に伴うマスタ作成は、支払基金・国保中央会の担当者が合同で設定後のチェックを行う②両機関のマスタの授受は、緊急時や休日であっても保守業者の要因を確保の上、正規ルートで提供する③国保中央会側は、マスタ取り込み時の確認の徹底と国保システムの性能向上を行う④マスタの差し替え作業手順を見直すとともに、作業手順を徹底する―の4点をあげた。

会見で須田俊孝理長特任補佐は、「本来、避けることができた障害だと思っている。4月の障害はサーバを均等に稼働させるためのプログラムの不具合を事前に発見できず、稼働しないプログラムで受付を開始したことが原因だ。これについてはプログラムを修正するとともに、こうした事象が起こったとしても処理できるようにサーバを増強した。5月は国保サイドと支払基金のトラブルが重なってしまったことが原因だが、お互いのせいにするのではなく、原因究明や対応策を話し合った。事前に防げたものであるため、今後は起こらないように対応していきたい」と述べた。  

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