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厚労省が事務連絡で新型コロナ患者へのアビガン投与への手順を明確化(4月27日)

厚労省は4月27日、新型コロナウイルス患者に抗ウイルス薬アビガンを投与するための手順を明確化する事務連絡を発出した。

アビガンは新型または再興型インフルエンザウイルス感染症を効能効果として承認された医薬品で、新型コロナウイルス感染症に利用するためには、医療機関が研究班による観察研究に参加することが必要になる。事務連絡では観察研究に参加するための手続きを示した。

医療機関が研究班による観察研究に参加し、患者本人の同意があり、医師の判断によって使用が必要となった場合に限り、新型コロナウイルス感染症へのアビガン利用が可能になる。

ここで観察研究とは、医療機関内の倫理委員会等の手続を経て、患者の同意を得た上で、本来の適応とは異なる投与を行う治療の分析を行う研究のこと。  

アビガンは動物実験で催奇形性があることが確認されているため、「妊娠可能な女性」や「妊娠させる可能性のある男性」への投与には、慎重な検討が必要になると明記した。

このほか、アビガン投与を行う事例の「参考」として、日本感染症学会の「COVID-19 に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」の記述を紹介している。アビガンの投与を検討すべき例として、下記の3つを挙げている。

  1. 概ね 50 歳以上の患者で、低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった例

  2. 糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態等のある患者で低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった例

  3. 年齢にかかわらず、酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある例

観察研究への参加を審議するための倫理審査委員会が医療機関内にない場合は、代表研究機関の倫理審査委員会による審査を利用できる。  

日本医師会の横倉義武会長は翌28日の会見で、「観察研究の参加がしやすくなり、アビガンが使いやすくなる」と評価した。  

【資料】(厚生労働省サイト)
事務連絡「新型コロナウイルス感染症に対するファビピラビルに係る観察研究の概要及び同研究に使用するための医薬品の提供に関する周知依頼について」
「別添:コロナウイルス感染症に対するアビガン(一般名:ファビピラビル)に係る観察研究の概要及び同研究に使用するための医薬品の提供について」

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