見出し画像

リハビリ提供体制の構築で厚労省検討会が議論を開始(4月23日)

厚生労働省は4月23日、第1回「要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会」を持ち回りで開催した。

リハビリテーションサービスの提供体制の構築に向けて、自治体が策定する介護保険事業(支援)計画の実効性を高めるための指標などを検討していく。アウトカム指標の設定が論点の一つ。6月下旬に議論を取りまとめる予定だ。それを受け厚労省は、計画策定にあたっての活用方法などに関する手引きを自治体に提示する。

計画策定にあたっての手引きを自治体に提示

来年度からの第8期介護保険事業(支援)計画には、要介護(要支援)者に対するリハビリテーションの目標について国が示す指標を参考に盛り込む予定だ。

検討会では、来年度からの第8期計画における要介護者等に対するリハビリテーションの取り組み及び目標の設定、さらにPDCAサイクルに沿って取り組み等を進めるための指標に関して検討していく。地域格差を解消し要介護者等が必要に応じてリハビリテーションサービスを利用できる体制の構築を目指すことが狙いだ。検討会は、リハビリテーションや医療の関係団体、自治体、学術などの関係者18名で構成され、座長には田中滋・埼玉県立大学理事長が選出された。

◆要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会構成員

第8期計画策定に向けた国の基本指針案が7月頃に提示される予定であることを踏まえ、検討会は6月下旬に議論を取りまとめる予定だ。それを受け厚労省は、指標の意味や関連データの見方、計画策定にあたっての活用方法などに関する手引きを自治体に提示する考え。

すでに2019年度に調査研究事業(老人保健健康増進等事業)による検討委員会で議論が先行。その報告を踏まえ検討会は議論を深めていくこととされ、調査研究事業に基づいた論点整理が示された。

調査研究事業では「要介護度は指標に適切ではない」

まず、議論の範囲は、介護保険事業計画に位置付けられるリハビリテーションサービスのうち、▽老健施設▽介護医療院▽訪問リハビリテーション▽通所リハビリテーションを対象とすることが提示された。

指標の考え方としては、地域のリハビリテーション資源や供給量、需要を元に介護保険の生活期リハビリテーションの現状や課題を把握し、適切な施策につなげていくことを目的として指標を利活用するとされ、計画の実効性を高めるためにPDCAサイクルを推進する指標が必要とされた。

さらに指標としては、①ストラクチャー指標、②プロセス指標、③アウトカム指標の検討が示された。

このうち①ストラクチャー指標としては、「事業者数」「定員数」「従業者数」「短期集中リハビリテーション算定事業者数」「認知症短期集中リハビリテーション算定事業者数」が示された。

②プロセス指標としては、「短期集中リハビリテーション算定数」「認知症短期集中リハビリテーション算定件数」「受給率」「受給者数」「生活機能向上連携加算件数」「個別リハビリテーション実施加算」などが示された。

さらに①と②について、重点指標を定めるかどうかも論点として挙げられた。

③アウトカム指標については、調査研究事業の検討委員会では、高齢者や要介護(要支援)認定者の状態像の特徴や変化を測る指標として検討したが合意には至らなかった。「要介護認定の実態から、要介護度は指標に適切ではない」という議論になった一方、自治体からは具体例の提示が要望されていることが報告された。

調査研究事業では、指標の具体例として、▽要介護認定率の改善率▽BL(バーセルインデックス)の変化度▽日常生活自立度▽要介護度、要介護者の満足度▽社会参加支援加算の報酬─があげられた。

こうしたことを踏まえ、検討会の論点としてはアウトカム指標の考え方や具体的な項目をどう考えるかが示された。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。