「解」は与えられているが実行は難しい。しかし改革を実施していくことが重要。
権丈:いや、今回も、編集者も含めた3人の鼎談だよ(笑)。
編集部:恐縮です。坂本様との対談というかたちで結構です。
権丈: この前、僕と坂本さんが次期年金制度改正を巡って、『年金時代』で対談したところ、この『年金時代』のサイトへのアクセスが跳ね上がったようです。そこで、これを機会に、年金部会や経済前提の専門委員会が開催されるたびに、対談をしたらどうだろうかと編集部に提案しました。今回も前回に続いて、平成16年改正のときの年金局数理課長であった坂本さんの視点から、年金部会などの議論をどのようにご覧になられているかということを伺いながら、議論したいと思います。なお、『年金時代』での企画名は「居酒屋ねんきん談義」ということのようですが…。
編集部:まだ、そのようなネーミングにするかどうか決めかねています。
権丈:あっそう。じゃあ、これでいこう。坂本さんも、それでいいですよね。
坂本:毎度、発想がおもしろいですね(笑)。
権丈:まぁ、僕らは飲みに行ってもこんな話ばかりしているわけだから、日頃と代わり映えしないわけですけどね(笑)。でははじめましょうか。年金部会がこれまで2回、経済前提の専門委員会が6回開かれています。これらをご覧になられて、坂本さんは、どのように思われましたか。
坂本:年金部会については、社会保障制度改革国民会議が報告書を作成し、プログラム法(「持続可能な社会保障制度の確立を図るために講ずべき改革の推進に関する法律」)が制定されましたが、同法に沿って平成26年の財政検証でオプション試算とされた、①マクロ経済スライドの仕組みの見直し②被用者保険の更なる適用拡大③保険料拠出期間の延長と繰下げ受給の活用――の3つの検討課題については、いずれも将来世代が受ける年金の給付水準を高めることが、平成26年の財政検証結果でも示されています。
そこで、将来に向けて改革を進め、「チャンスの窓が閉まらないうちに」それらを完全実施していくことが、一つの方向だと思うのです。しかし、改革の「解」が与えられているのですが、それをどうやって実行していくかが、非常に難しいという思いで見ています。しかし、そうであってもこれらの改革を実施していくことが重要だと考えています。