見出し画像

#9 年金から天引きされる介護保険料

65歳以上になると、介護保険料は、原則、公的年金から天引きされるようになります。
ご相談者の中には、「65歳前と比べると、介護保険料が2倍以上になって驚いた!」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
なぜ、65歳を境に介護保険料は増えるのでしょうか?
今回は、年金から天引きされる65歳以上の介護保険の保険料の仕組みについてご説明します。


65歳以上は第1号被保険者、40歳以上65歳未満は第2号被保険者

介護保険制度は、高齢化や核家族化の進行などを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として平成12年にスタートしました。
介護保険の被保険者は、65歳以上の人を「第1号被保険者」、40歳以上65歳未満の人を「第2号被保険者」と区分しています。
第1号被保険者と第2号被保険者では、介護サービスを受けるための受給要件や、保険料の決め方・納め方などが異なります

介護サービスの受給要件

第1号被保険者と第2号被保険者では、介護サービスを受けるための受給要件が大きく異なります。
第1号被保険者は、原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
一方、第2号被保険者は、加齢に伴う疾病(関節リウマチなど16種類の特定疾病)が原因で要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます(図表1参照)。

介護保険料の納め方

第1号被保険者と第2号被保険者では、介護保険料の納め方が異なります。
第1号被保険者の介護保険料の納め方は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。
特別徴収とは、老齢(退職)・障害・遺族年金などの年金を1年間に18万円以上受給している人が対象で、介護保険料は年金から天引きされます。
年金は、年6回偶数月に支給されるので、介護保険料も年6回に分けて天引きされることになります。
一方、普通徴収とは、特別徴収に該当しない人で次の人が対象となります。
納付方法は、各自治体から送付される納付書で支払うか、口座振替になります。
➀ 老齢(退職)・障害・遺族年金の額が年額18万円未満の人
➁ 年金を担保に借入をしている人
➂ 老齢基礎年金のみ年金の受給を繰り下げている人(老齢厚生年金は受給中)
④ 保険料が減額になった人
➄ 年度途中で65歳になった人
⑥ 転入された人
なお、老齢厚生年金は、特別徴収の対象になりません。このため、老齢基礎年金のみを繰り下げし、
老齢厚生年金のみを受給している場合、老齢厚生年金から介護保険料の天引きは行われません。

ここから先は

1,707字 / 1画像

¥ 100

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。