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#15 不支給事例 その1(精神障害)

 これまでの連載では、支給される事例を取り上げてきました。しかし、現実には残念ながら不支給になることもしばしばあります。その理由として、ほとんどの場合は障害状態が障害等級に該当しなかったことによるものですが、中にはそれ以外の思わぬ事象で不支給になることもあります。
 そこで、今回は不支給になった事例を取り上げ、その理由を検証していきたいと思います。

 この相談情報の限りでは、精神障害による通常の障害年金請求です。気を付けなければならないのは、症状が重たそうですので、障害認定日請求にするか事後重症請求にするかが、大きな注目点になると思われます。


1.初診日及び障害認定日の特定

 まずは通常どおり、初診日の特定から始めます。生活保護の担当者から勧められて医療機関を受診したとありますので、その前から精神の疾患で医療機関には行っていないことが想像されます。従って、初診日は「Zクリニック」の「平成28年1月10日」で問題ないかと思われます。精神の障害ですので症状固定がないことから、障害認定日は初診日から1年6カ月後の「平成29年7月10日」となります。
 初診日において、国民年金に加入をしていますので障害基礎年金の請求となり、納付要件も、平成26年1月から生活保護による法定免除期間となっていますので、初診日の前々月以前1年以内に未納がないことから満たしていることが分かります。

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