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第8期介護保険事業計画の基本指針案を概ね了承(7月27日)

社会保障審議会介護保険部会(遠藤久夫部会長)は7月27日、令和3年度からの第8期介護保険事業(支援)計画の基本指針案について検討し、概ね了承した。

厚労省は、第8期計画で充実する事項として新たに「災害や感染症対策に係る体制整備」を示した。厚労省によると、基本指針に災害や感染症への備えについて盛り込むのは初めて。

災害や感染症対策に係る体制整備を初めて盛り込む

基本指針の最初の記載されている、計画作成にあたっての理念などを盛り込んだ「サービス提供体制の確保及び事業実施に関する基本的事項」に新たな項目として「災害・感染症対策に係る体制整備」が導入された。

「近年の災害の発生状況や、新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえ、次の取組を行うことが重要である」と指摘。そのうえで、①介護事業所等と連携し防災や感染症対策についての周知啓発、研修、訓練を実施すること②関係部局と連携して、介護事業所等における災害や感染症の発生時に必要な物資についての備蓄・調達・輸送体制をあらかじめ整備すること③都道府県、市町村、関係団体が連携した災害・発生時の支援・応援体制を構築すること─の3点を提示。「平時からICTを活用した会議の実施等による業務のオンライン化を推進することは、災害・感染症対策としても重要である」としている。

また市町村及び都道府県の計画作成に関する基本的事項として「地域防災計画」や「新型インフルエンザ等対策行動計画」との調和に配慮することが記載された。

さらに介護保険事業(支援)計画の任意記載事項として「災害に対する備えの検討」「感染症に対する備えの検討」も加わった。

市町村の介護保険事業計画における「災害に対する備えの検討」では次のように記載している。

「日頃から介護事業所等と連携し、避難訓練の実施や防災啓発活動、介護事業所等におけるリスクや、食料、飲料水、生活必需品、燃料そのほかの物資の備蓄・調達状況の確認を行うことが重要である。このため、介護事業所等で策定している災害に関する具体的計画を定期的に確認するとともに、災害の種類別に避難に要する時間や避難経路等の確認を促すことが必要である。」

感染症に対する備えの検討では、次のように記載している。

「日頃から介護事業所等と連携し、訓練の実施や感染拡大防止策の周知啓発、感染症発生時に備えた平時からの事前準備、感染症発生時の代替サービスの確保に向けた連携体制の構築等を行うことが重要である。このため、介護事業所等が感染症発生時においてもサービスを継続するための備えが講じられているかを定期的に確認するとともに、介護事業所等の職員が肝炎省に対する理解や知見を有した上で業務に当たることができるよう、感染症に対する研修の充実等が必要である。

また、感染症発生時も含めた都道府県や保健所、協力医療機関等と連携した支援体制の整備が必要である。

さらに、介護事業所等における、適切な感染防護具、消毒液その他の感染症対策に必要な物資の備蓄・調達・輸送体制の整備が必要である。」

都道府県の介護保険事業支援計画では、同様に「災害に対する備えの検討」「感染症に対する検討」が設定された。支援計画では、災害に対する備えで「あらかじめ関係団体と災害時の介護職員の派遣協力協定を締結するなどの体制を整備することが重要である」としている。

リハ提供体制構築の目標設定で国の指標を参考にするよう求める

同日の介護保険部会には、「要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会」の報告書概要についても報告された。

基本指針案には、同検討会の検討を踏まえ、介護保険事業計画の基本的記載事項の「被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止への取組及び目標設定」において、リハビリテーションサービスを計画的提供できる体制の構築の重要性を指摘。

そのうえで、「リハビリテーションに関する目標の設定に当たっては、国が示すリハビリテーションサービス提供体制に関する指標を現状把握や施策の検討の参考とすることが望ましい」と記載している。

介護保険事業支援計画の基本的記載事項の「市町村が行う被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止への取組及び目標設定」において、市町村の取組に対する都道府県の支援の一環として、「リハビリテーション提供体制の計画的な整備」が明記された。

さらに市町村の場合と同様に、リハに関する目標の設定では、国が示す指標を参考とすることが望ましい旨が盛り込まれた。

重層的支援体制整備事業の実施計画との整合性に留意を要請

他方、基本指針案には、先般の社会福祉法改正により創設された「重層的支援体制整備事業」について、介護保険事業計画の作成に関する基本的事項の「市町村地域福祉計画等との調和」で記載された。重層的支援体制整備事業を実施する場合には、重層的支援体制整備事業実施計画との整合性にも留意するとともに、地域支援事業の量の見込みについては、同事業における介護に係る事業分を含めて見込むこととしている。

具体的に次のように記載されている。

「令和二年の法改正において、地域住民の複雑化・複合化したニーズに対応するため、相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施する重層的支援体制整備事業が市町村が社会福祉法に基づき実施できる事業として創設された。重層的支援体制整備事業を実施する場合には、重層的支援体制整備事業実施計画(社会福祉法第百六条の五第一項に規定する重層的支援体制整備事業実施計画をいう。)との整合性にも留意するとともに、3の地域支援事業の量の見込みについては、重層的支援体制整備事業における介護に係る事業分を含めて見込むこと。」

部会では、重層的支援体制整備事業の予算確保を求める意見が出された。

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