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新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を見直し(5月4日)

政府は4日、新型コロナウイルス緊急事態宣言の延長とともに、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を見直した。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の状況分析・提言などを踏まえたもの。見直しは4回目。緊急事態宣言の延長の理由とともに、感染拡大防止と社会経済活動の維持との両立に配慮した取り組みへの移行などが示された。


医療提供体制の逼迫から新規感染者を減少させる取り組みを継続

政府は4月7日に5月6日までを措置期間とし、東京都や大阪府など7都府県を対象に緊急事態宣言を発出。同16日に全国に対象を拡大した。5月4日に緊急事態宣言を同31日まで延長することを決定した。

見直し後の基本的対処方針では、▽政府や国民などの一丸となった取り組みにより、全国の実効再生産数は1を下回り、新規報告数は、オーバーシュートを免れ、減少傾向に転じるという一定の成果が現れ始めている▽全国の新規報告数は未だに200人程度の水準となっており、引き続き医療提供体制が逼迫している地域も見られることから当面、新規感染者を減少させる取り組みを継続する必要がある▽再度感染が拡大すれば医療提供体制への更なる負荷が生じるおそれがある─と指摘。そのうえで、引き続き全都道府県を対象とし、緊急事態措置を実施すべき期間を5月31日まで延長するとした。

なお、緊急事態措置を実施する必要が無くなったと認められるときは、期間内でも速やかに緊急事態を解除することも示した。

対象地域は感染状況や医療提供体制などを踏まえ総合的に判断

基本的対処方針では、緊急事態宣言の対象となる「特定都道府県」のうち、まん延が特に進んでいた東京都など13都道府県について「特定警戒都道府県」として対策を促してきた。

見直し後の方針では、全都道府県で緊急事態措置を継続するが、特定警戒都道府県と、それ以外の県では感染の状況等が異なることを指摘。

特定警戒都道府県では、これまで同様の取り組みが必要だが、それ以外の県では、県下の感染状況を踏まえつつ、密閉空間・密集場所・密接場面の「三つの密」の回避を中心とした、より社会経済活動の維持との両立に配慮した取り組みに段階的に移行していくこととした。

他方、緊急事態宣言の今後の対象地域について言及。①感染状況(疫学的状況)や②医療提供体制などを踏まえて総合的に判断していくとした。

このうち①感染状況については、新規感染者数等の水準、近隣都道府県の感染状況を例示。②医療提供体制については、医療機関の役割分担の明確化や患者受け入れ先の調整機能などの8項目を示した。

社会経済活動の維持との両立に一層配慮した取り組みに移行

見直し後の方針では、新規報告数が減少傾向に転じていること等を踏まえ、まん延防止策を講じるにあたり、次の点に留意しつつ、より社会経済活動の維持との両立に配慮した取り組みに移行していくとした。

  • 地域の感染状況や医療提供体制の確保状況等を踏まえながら、段階的に社会経済の活動レベルを上げていく。

  • 隣県など社会経済的つながりのある地域のまん延状況に留意する必要がある。

  • 全ての住民、事業者に感染拡大を予防する「新しい生活様式」を定着させる必要がある。

  • 仮に再度、感染の拡大が認められた場合には、厳しい行動変容の要請を行う必要がある。

「新しい生活様式」については、5月1日と4日の専門家会議の状況分析・提言であげられたもので、4日の提言では具体的な実践例が示された。 なお提言は、事業者及び関係団体に感染防止のための業種ごとのガイドラインを作成することも求めており、見直し後の方針にも盛り込まれた。

軽症者等は宿泊療養を基本とする

医療等に関しては、この間の動向・対応を踏まえて、大きく見直している。

たとえば、重症者等に対する医療提供体制に重点を置いた入院医療の提供体制の確保を進めるため、入院治療が必要ない軽症者等について宿泊施設等で療養することを明示。特に急変時の対応のため、「宿泊施設が十分に確保されているような地域では、軽症者等は宿泊療養を基本とする」としている。

患者が入院・宿泊療養・自宅療養をする場合に、その家族に要介護者や障害者、子ども等がいる場合は、市町村福祉部門の協力を得て、ケアマネジャー、相談支援専門員、児童相談所等と連携し、必要なサービスや支援を行うとしている。

特定都道府県は、患者受け入れ調整や移送調整を行う体制を整備するとともに、医療機関情報把握システムも活用し、患者受け入れ調整に必要な医療機関の情報の見える化を行うとしている。また厚労省は特定都道府県が患者搬送コーディネーターの配置を行うことについて、必要な支援を行うとした。

政府は、医療機関から集めた情報の一部について、4月8日から政府CIOポータルにて公開している。

医療従事者の確保や、ドライブスルー方式などでの効率的な診療・検査体制の確保なども示した。

患者等情報等共有の情報把握・管理支援システムを早急に構築

サーベイランス・情報収集については、厚労省は医療機関や保健所の事務負担の軽減を図りつつ、患者等に関する情報を関係者で迅速に共有するための情報把握・管理支援システムを早急に構築するとしている。

さらに、本システムを活用し、都道府県別の陽性者数やPCR等検査の実施状況などの統計データの収集・分析を行い、より効果的・効率的な対策に活用していくとした。

厚労省は4月30日付で、「新型コロナウイルス感染症等情報把握・管理支援システム(仮称)」の導入について、事務連絡を発出。5月10日の週に一部の保健所等で、さらに17日の週には全国で利用を開始する予定で準備を進めていることを示した。

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