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4月末発刊!年金実務必携『年金のてびき』令和5年4月版

4月末に社会保険研究所から令和5年4月版『年金のてびき』を発刊しました。令和4年4月・令和5年4月改正の「繰下げ支給」の試し読みを公開します。

『年金のてびき』令和5年4月版(社会保険研究所発行)より掲載 

繰下げ支給

 繰上げ支給とは反対に、66歳になるまで老齢基礎年金を請求しなかった人が66歳以後に申出をすれば、申出時の月単位の年齢に応じて次の増額率の式によって増額された繰下げ支給の老齢基礎年金が支給されます。

増額率=0.7%×65歳になった月から繰下げ申出月の前月までの月数

*前記の0.7%にかける月数は、120カ月(昭和27年4月1日以前生まれの人は60カ月)が上限になっています。

 例えば、満額の795,000円(既裁定者である68歳以上の人の場合は792,600円)の老齢基礎年金を受けられる場合、66歳0カ月で繰下げの申出をすると、65歳になった月から66歳になる月の前月まで12月あるため、増額率は8.4%、支給額は861,780円・月額71,815円(既裁定者である68歳以上の人の場合は859,178円・月額71,598円)となります。

*70歳1カ月以後の増額率が適用されるのは、令和4年4月1日以後に70歳にな る人(昭和27年4月2日以後生まれの人)または令和4年4月1日以後に受給権取得日から起算して5年を経過する人(平成29年4月1日以後に受給権を取得した人)です。
*66歳になる日は66歳の誕生日の前日とされていますので、例えば、昭和32年4月2日~同年5月1日生まれの人の場合、令和5年4月中に繰下げ支給の申出をすれば申出時の年齢は66歳0カ月とされ、令和5年5月中に申出をすれば申出時の年齢は66歳1カ月とされます。
*65歳を過ぎてから老齢基礎年金の資格期間を満たした人は、資格期間を満たした月から1年が過ぎた月以後に申出をすれば繰下げ支給の老齢基礎年金を受けられます。その場合の増額率は、老齢基礎年金の資格期間を満たした月から繰下げ支給の申出を行う月の前月までの月数に応じて決定されます(例えば、66歳0カ月で老齢基礎年金の資格期間を満たした人が67歳0カ月で繰下げ支給の申出をした場合、前記の老齢基礎年金の増額率の計算式にかける月数は12カ月となります)。

●特別支給の老齢厚生年金を受けた人は

 65歳になるまでに特別支給の老齢厚生年金を受けた人も、66歳になるまでに老齢基礎年金の支給を請求しなかった場合、申出をすれば、繰下げ支給の老齢基礎年金を受けられます。

●繰下げ支給の注意事項

  1. 一度決められた増額率は、受給者の一生をとおして変更は認められません。

  2. 66歳になる前に障害・遺族年金の受給権者になった人は繰下げ支給の申出を行うことはできませんが、平成17年4月以後に66歳以上でこれらの年金の受給権者になった場合、これらの年金の受給権者になった日に繰下げ支給の申出をしたとみなされます(この場合、受給権者が選択すれば65歳にさかのぼって本来の老齢基礎年金を請求することもできます)。

  3. 平成26年4月から、70歳になった日後に繰下げ支給の申出をした場合、70歳になった日に繰下げ支給の申出をしたとみなされます(昭和27年4月1日以前生まれの人または平成29年3月31日以前に受給権を取得した人)。

  4. 平成26年4月前に70歳になった人(昭和19年4月1日以前に生まれた人)が平成26年4月以後に申出をした場合、同月1日に申出をしたとみなされます。

  5. 令和4年4月から、繰下げ支給の上限年齢が引き上げられ、令和4年4月以後に70歳になる人(昭和27年4月2日以後生まれの人または平成29年4月1日以後に受給権を取得した人)は、繰下げ支給の上限年齢は75歳になった日または受給権取得日から10年を経過した日となります。

  6. 繰下げ支給の上限年齢の引き上げに伴って、令和4年4月以後に70歳になる人(昭和27年4月2日以後生まれの人または平成29年4月1日以後に受給権を取得した人)が、75歳になった日または受給権取得日から10年を経過した日後に繰下げ支給の申出を行った場合、75歳になった日または受給権取得日から10年を経過した日に繰下げ支給の申出があったものとみなされます。

  7. 令和5年4月からは、70歳になった日後または受給権を取得した日から起算して5年を経過した日後に年金を請求し、請求時点で支給の繰下げを選択していなかった場合には、請求の5年前に支給の繰下げの申出があったものとみなされて年金が支給されます(特例的な繰下げみなし増額制度)。ただし、請求日が、80歳になった日以後または受給権を取得した日から起算して15年を経過した日以後にある場合には、このみなし増額制度は適用されません。なお、このみなし増額制度の対象となるのは、昭和27年4月2日以後生まれの人または平成29年4月1日以後に受給権を取得した人です。

  8. 39頁の振替加算については、老齢基礎年金の繰下げ支給を受けても増額されません。


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