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健保組合全国大会「現役世代の負担軽減」などを決議(10月19日)

健保連は10月19日、都内で令和3年度健康保険組合大会を開き、①国民が安心できる安全で効率的な医療の実現②現役世代の負担軽減と世代間の公平性の確保③健康寿命の延伸に向けた保健事業のさらなる推進―の決議を採択した。

基調演説で宮永俊一会長は、「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に入る2022年度から2025年度にかけての高齢者医療制度への拠出金負担が急増する構造的な問題について「何ら変わっていない。このまま拠出金が際限なく増え続け、負担に耐え切れず解散に追い込まれる健保組合が相次げば、国民皆保険制度の根幹が揺らぐことは間違いない」と警鐘を鳴らした。

6月に成立した後期高齢者の窓口負担2割への引き上げなどを盛り込んだ健保法等改正法について「我々が主張してきた改革で一歩前進ではあるが、今後見込まれる高齢者拠出金の急増を考えれば十分とは言えない。次なる改革は不可欠であり、早期に検討を開始し、実現していくことが求められる」と訴えた。

一方、大会終了後に厚労省内の記者クラブで、令和2年度健保組合決算見込の集計結果を発表した。

高齢者医療拠出金が前年度に比べて3.2%増加し、新型コロナの影響で保険料収入が▲0.7%と減少したものの、感染拡大下における受診控えなどによって保険給付費が▲5.1%と大きく減少したことから2952億円の黒字となった。黒字額は前年度に比べ454億円増加した。

1388組合のうち、赤字組合は458組合(構成比33.0%)、黒字組合は930組合(同67.0%)。業態別に経常収支差引額をみると、赤字は「繊維製品製造業」「飲食用品小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」の4業態で、「宿泊業、飲食サービス業」が▲41億円で最も赤字額が多い。

令和3年度については、保険料収入は低迷する一方、保険給付費は新型コロナの影響が不透明ながら回復傾向、高齢者拠出金は高齢者数の増加で増え、経常収支は赤字を見込んでいる。

   

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