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介護保険部会が認知症施策の推進などを議論(9月12日)

社会保障審議会介護保険部会は9月12日、次期制度改正に向けて前回に引き続き地域包括ケアシステムのさらなる深化・推進について議論した。認知症施策の推進などについて意見があがった。

介護保険部会 地域包括支援センター 広範な業務負担が課題に

厚労省は現状の課題として以下の項目を説明。

  • 認知症施策の推進

  • 家族を含めた相談支援体制の推進

  • 総合事業の多様なサービスのあり方

  • 通いの場、一般介護事業

  • 地域包括支援センターの体制整備

  • 介護予防ケアマネジメント業務

  • 保険者機能の強化

その上で、論点として2019年にまとめた認知症施策推進大綱において策定後3年を目途に施策の進捗の確認を行うこととされている認知症施策については「その目標等の進捗状況を踏まえつつ、施策を推進していく」とした。

通いの場については「閉じこもりやフレイル等で参加していない高齢者の、介護予防・見守りの取組につなげるための方策」をあげた。

地域包括支援センターについては、「総合相談支援業務と介護予防ケアマネジメント業務などの業務負担が大きくなっている」と指摘し、適切な業務のあり方をあげた。

論点に対し、全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、現行の認知症高齢者の日常生活自立度について「必ずしも認知症の方の尊厳や自立を測る指標とは言えない。認知症の高齢者の方に残っている認知機能を測ることが重要だ」と見直しを求めた。

通いの場については「フレイル予防の観点からは大変重要な手法であるが、プレフレイルやフレイルの人の参加は難しい。介護予防のなかに効果的なプレイフレイル・フレイル対策を組み込んでいく時期に来ている」と指摘した。

通いの場「虚弱高齢者の参加が難しい」

全国老人福祉施設協会の小泉立志委員は認知症初期集中支援チームについて、「地域でどのくらい機能しているのか実態が見えてこない状況だ。情報を共有した上で、機能を拡大していくべき」と述べた。

地域包括支援センターについては「多くの地域で業務量の増大と複雑化・多様化が進行して、職員が疲弊している話を聞く。役割を明確化して業務の見直しを行うべきだ」と述べた。

日本医師会の江澤和彦委員は、認知症初期集中支援チームについて「新型コロナの流行以前から年々相談件数が減っており、地域包括支援センターから上がってくる事例には困難事例などが多い傾向がある。住民への浸透も含め、今一度の今後のあり方を検討する必要がある」と述べた。

通いの場については「質を高めることが課題。通えない人へのアウトリーチなどの方策も必要」と指摘。地域包括支援センターの業務見直しについては、「予防ケアプラン作成を業務にするかどうか分岐点にきている」と述べた。

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