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日医がかかりつけ医機能の考え方を発表、連携・ネットワークで対応(11月2日)

日本医師会の松本吉郎会長は11月2日の会見で、かかりつけ医機能の制度整備の考え方について発表した。

政府には医療機能情報提供制度を見直して適切な医療機関を国民自ら選択できるよう支援を求める一方、医療機関は「地域における面としてのかかりつけ医機能」を発揮するために他の医療機関と連携してネットワークで対応する考えを表明した。

発表した「地域における面としてのかかりつけ医機能~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)」は、日医内の医療政策会議かかりつけ医ワーキンググループがまとめた第1次報告を踏まえたもの。

政府に対しては、国民に分かりやすくかかりつけ医機能を示すために医療機能情報提供制度の見直しを要請。現在、同制度は国民にあまり知られていないことから、わかりやすい内容に改め、フリーアクセスにおいて同制度を活用し、適切な医療機関を自ら選択できるよう支援を行うことを求めた。

感染症発生・まん延時においては現在、国会で審議している感染症法等の改正内容での対応をあげた。改正法案では、かかりつけ医機能が発揮される制度整備について、「地域医療体制全体の中で感染症危機時に外来医療や在宅療養等を担う医療機関をあらかじめ明確化し、平時に受診している医療機関がない人を含め、国民が必要とするときに確実に必要な医療を受けられる方向で進められている」と指摘した。

一方、医療機関は、日常診療時より他の医療機関と連携し、急変時においても可能な限り地域におけるネットワークで対応する。「各医療機関は自らが持つ機能を磨くことにより縦糸を伸ばすとともに、さらに地域における他の医療機関との連携を通じて横糸を紡ぎ、それによって『地域における面としてのかかりつけ医機能』が織りなされ、さらに機能を発揮していく」としている。

あわせて、地域における面としてのかかりつけ医機能を持つために、「地域包括診療料・加算」などのかかりつけ医機能への評価について「多くの医療機関が算定できるようにするとともに、財政中立ではなくさらに充実強化させるべき」とした。

登録制「乱暴な議論」、人頭払い「現実的でない」

会見で松本会長は、財務省などが主張するかかりつけ医の「制度化」について「かかりつけ医をあくまで国民が選ぶものである。国民にかかりつけ医を持つことを義務付けたり、割り当てたりすることには反対だ。国民にかかりつけ医を選ぶ権利はあるが義務ではない。もし制度化という言葉がそのようなことを意図しているのであれば、医師会として賛成することはできない。かかりつけ医になる医師は制度上の制限を課すのではなく、かかりつけ医になるべく研鑽を積んでいる医師がかかりつけ医になれると考えている」と反対した。

登録制については「患者の医療へのアクセス権や医師を選ぶ権利を阻害する提案であり、わが国の良い医療の伝統を損なう乱暴な議論ではないか。このような提案は国民も受け入れられないのではないか」との認識を示した。

人頭払いについては「現在の複雑かつ高度な医療においては現実的な提案ではない。地域の医療体制が面として患者を支えていくことが求められる中で、この体制を人頭払いで保証することは不可能ではないか」と述べた。  

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