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日医の中川会長、緊急事態宣言の延長求める(3月3日)

日本医師会の中川俊男会長は3月3日の会見で、7日を期限とする首都圏の1都3県を対象とした新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言の期間延長を求めた。

1都3県の緊急事態宣言の解除についての議論が大詰めを迎えていることに触れ、「菅総理の英断で緊急事態宣言が発令され、それに国民が答えるかたちで感染者数は明確に減少してきた。一方、1都3県の知事は解除に慎重な発言をしている。日医は緊急事態宣言を延長し、感染防止策を徹底すべきだと考える」と述べた。

延長の理由については「専門家が主張しているように、徹底的に感染者を抑え込んだ上で解除しなければ4月以降に第4波を招くおそれがあり、本格化する全国のワクチン接種の妨げになりかねない。そのためには積極的疫学調査が可能なステージⅡのレベルまで新規感染者数を抑え込まなければならない」と訴えた。

政府に対しては、経済活動の状況などを踏まえながらぎりぎりの決断をしていることに理解を示した上で、「今回を最後の緊急事態宣言にし、第4波を絶対に招いてはいけない。政府は緊急事態宣言の解除は慎重かつ冷静で大局的な判断を改めてお願いする」と要請した。

中川会長は、緊急事態宣言が宣言が解除された場合の対応として、①なお一層の移動の自粛や個々の意識の継続などによる感染防止対策の改めての徹底②『まん延防止等重点措置』の適用など新型インフルエンザ等対策特別措置法の活用③PCR検査や濃厚接触者などへの前向き積極的疫学調査に加え、潜在的な感染源を同定するための後ろ向き積極的疫学調査による感染のリバウンド防止④日医と病院団体、厚労省の対策会議で新型コロナ患者の受入体制を協議している病床の確保―の4つの提言を行った。

一方、新型コロナのワクチン接種については、「国からの情報提供は十分ではない」と述べるとともに、「ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)」に対し、地域医師会から「分かりにくい」「入力などの使い勝手がよくない」「不具合がある」といった指摘を多く受けていることを示した。日医として「ワクチン接種に関して現場に混乱を来さないように、国に対して正確で迅速な必要な情報提供とシステムの改善を求めていく」と述べた。

ワクチン接種の情報については、「その時点で確定している供給や品質、有効性、安全性などの情報だけをメールやファックス、ホームページで地域医師会に発信する『新型コロナワクチン速報』を開始している。また、来週にはワクチン接種を受けるかどうかの判断に資するパンフレットも公開する予定だ」と日医の対応を説明した。  

会見する日本医師会・中川俊男会長

   

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