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出産費用「見える化」ウェブサイトのイメージ案を報告 医療保険部会(2023年9月7日)

社会保障審議会医療保険部会は9月7日、出産費用の見える化について議論した。厚労省は医療機関ごとの出産費用の状況などの見える化の公表内容やスケジュール、ウェブサイトのイメージ案を報告。来年4月から見える化ウェブサイトで公表する予定。

出産費用の見える化では、出産費用の直接支払制度を利用している医療機関・助産所を対象に、

  1. 分娩施設の概要
    施設種別、年間の取扱分娩件数、実施される検査(新生児聴覚検査等)等

  2. 助産ケア
    助産師外来・院内助産の実施の有無、産後ケア事業の実施の有無等

  3. 付帯サービス
    立ち会い出産実施の有無、無痛分娩実施の有無等

  4. 分娩に要する費用等の公表方法
    分娩に要する費用・室料差額・無痛分娩に要する費用

  5. 直接支払制度の請求書データからの費用等
    平均入院日数、出産費用の平均額等、室料差額の平均額等、妊婦合計負担額の平均額等

――の事項を公表する。

ウェブサイトのイメージ案では、都道府県選択画面から市町村名、分娩施設画面で施設名をクリックすると、「1.」~「5.」の分娩施設個票が明示される。
たとえば、「5.」の直接支払制度の請求書データからの費用等では「出産費用の平均額等(室料差額、産科医療補償制度の掛け金、その他の費用を除く)」などが記載される。

今後、10月に直接支払制度の要綱を改正し、10月~来年1月において医療機関等への周知・医療機関等からの情報の受付、10月~来年3月に見える化に必要な情報の収集・整理が行われたのち、令和6年4月に「見える化ウェブサイト」で公表が開始される予定となっている。

「出産費用の見える化」における対象施設は、出産費用の直接支払制度を利用している医療機関・助産所で、約2,300施設となる予定。年間分娩件数が20以下の施設は、件数が少なく平均値に代表性がないため掲載は任意となる。

公表情報の内容で賛否

出産費用の見える化の公表事項について、健保連の佐野委員は「見える化やウェブサイトのイメージでは不十分。出産費用の平均額が示されても内訳が示されていない。妊産婦が適切にサービスを選択できるように費用を示すことが重要だ」と不満を表明。

一方、日本医師会の猪口委員は「直接支払制度の請求書の内訳項目ごとに費用を公表することは提供する情報が複雑になりすぎ、共通化・標準化の点を考慮して分娩取扱い施設の比較・選択のために個々の施設ごとに公表すべき情報とは考えられない。かえって妊婦にわかりにくいものになりかねない。もともと正常分娩は自由診療であり、一つひとつの診療行為の点数を積み上げて計算されるものではないため、内訳を示すことは困難であるし、費用の定義も共通化したものではない。今回提案されている内容で進めるべきだ」と厚労省案を支持した。

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