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時々刻々|#13 「持続可能」という思想

持続可能な社会とか、国連の持続可能な開発目標(SEGs)とか、「持続可能」という言葉には、いまあるあり方が絶えることなく、あり続けることができる、という意味と、そのいっぽうで、継続性が可能になるよう中身や内容、しくみや制度を変えていくという意味も含んでいるように思う。とは言え、いまあるあり方が変わっていくなかで、そこに属するひとたちの間に、対立や分断が生じないような変わり方を指向しているように感じる。

国連「持続可能な開発目標(SEGs)」は、「『誰一人取り残さない』持続可能で多様性と包括性のある社会の実現を目指す」と説明しているが、持続可能という考え方には、対立、分断どころか、この変化に取り残される人がいないということを大切な価値観として据えていることから、権力闘争や階級闘争などとは無縁の社会変革(革命!?)なのではないかと思えなくもない。

世の中を変えていこうとするとき、支配者を被支配者が打ち負かしたり、多数派の意見が少数派の意見に対して多数決をもって勝利したり、そこには、往々にして勝者と敗者がいる状況があった。良い世の中に変えると言うと、「良い/悪い」という価値観が伴い、対立と分断がつきまとう原因となる。それでも自分の主義主張を通そうとすると、権力闘争に陥ってしまうのが世の常だった。

持続可能な世の中にしていくという設定であればどうだろう。しかも「誰一人取り残さず」持続可能な世の中に移行していくと決意を込めて、これを実行するとしたら、持続可能となることでみんなが勝者となり、みんなが幸せになるのではないだろうか。取り残される人がいるとしたら、その社会変革は持続可能な社会になるための課題もいっしょに取り残してきてしまったということだ。


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