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次期成年後見制度利用促進基本計画に向け中間とりまとめ(7月30日)

厚労省の成年後見制度利用促進専門家会議(大森彌座長)は7月30日、来年度からの次期成年後見制度利用促進基本計画に係る中間とりまとめ案を検討した。この日の意見を踏まえ微修正されたものが近く公表される。

平成29年3月に閣議決定された現行の基本計画は概ね5か年とされ、今年度が最終年度になっている。次年度以降の基本計画に向け、変更案の作成に当たり盛り込む事項を今年3月から専門家会議で検討している。

中間とりまとめ案では、地域共生社会の実現に向け、権利擁護支援の地域連携ネットワークの一層の充実など成年後見制度の利用促進の取組をさらに進めていく方針を示した。そのうえで、小規模市町村への支援における都道府県の役割を指摘し、都道府県単位での関係団体による協議会のあり方などについて専門家会議で検討することとした。

専門家会議は中間とりまとめを踏まえて検討を進め、年末を目処に最終とりまとめを行う予定だ。その後、パブリックコメントが実施され、最終とりまとめをベースとした次期成年後見制度利用促進基本計画が来年3月に閣議決定される見通しだ。

都道府県単位における関係団体の協議会のあり方を検討

認知症の人など判断力が低下した人の意思決定を支援する成年後見制度は、介護保険制度と同じ平成12年4月から施行された。ただ、制度はあまり浸透せず、十分に利用されてこなかった。そこで議院立法による「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が平成28年4月に成立し、同年5月に施行された。

同法に基づく成年後見制度利用促進基本計画は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定されたもので、平成29年3月に閣議決定された。

基本計画には、全国どの地域においても成年後見制度の利用が必要な人が制度を利用できるよう各地域において権利擁護支援の地域連携ネットワークを構築することが盛り込まれている。なお権利擁護支援の地域連携ネットワークは、「成年後見制度の利用が必要な人を発見し、適切に必要な支援につなげる地域連携の仕組み」とされている。

基本計画の期間は概ね5か年。基本計画を踏まえ、市町村でも計画を策定して整備を進めることが求められている。

認知症の人など判断力が低下した人の支援では、本人に身近な親族や専門職、後見人等がチームとなって取り組み、それを専門職団体が下支えする体制の構築が示されている。

市町村では、法律・福祉の専門職団体や司法、福祉、医療、地域、金融等の関係機関が連携体制を強化するための「協議会」と、協議会の事務局機能や地域連携ネットワークのコーディネート機能などを担う「中核機関」の設置が求められている。

中間とりまとめ案では、市町村・都道府県の役割などをあらためて明示した。

市町村には、地域連携ネットワークづくりやその機能の強化に積極的に取り組むようあらためて要請した。ネットワークや中核機関に期待される機能の段階的・計画的な整備に向け、市町村計画を定めるとともに、必要に応じて見直すことを求めた。

協議会等の効果的な運営や市町村計画のあり方について専門家会議で引き続き検討する。

人口規模が小さく、社会資源が乏しい町村部では得に体制整備が進んでいない。

そこで都道府県に対しては、市町村の体制整備の支援について機能を強化して、小規模市町村における地域連携ネットワークの構築を促進する必要があるとしている。

市町村のネットワークづくりを後押しするうえで、都道府県でも家庭裁判所や専門職団体、都道府県社会福祉協議会、当事者団体などと連携する仕組みを構築する。こうした取組を進めるために都道府県単位の協議会のあり方について専門家会議で引き続き検討する。

後見人等の担い手の確保・育成も課題だ。国、地方公団体、地域の関係者は、それぞれの役割に応じ、市民後見人、法人後見、専門職後見人等の確保・育成を継続的に行う。併せて限られた人員を本人の適切な支援につなげるため関係者の間で役割分担を認識することが重要であり、担い手の基本的な役割の整理の必要性を指摘した。こうした点も含め、後見人等の育成・支援体制を確保するための方策について、専門家会議で引き続き検討する。 

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