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国立健康危機管理研究機構法案を閣議決定 日本版CDC設立めざす(3月7日)

政府は3月7日、「国立健康危機管理研究機構法案」を閣議決定した。今国会に提出し、いわゆる「日本版CDC」の設立をめざす。

厚生科学審議会感染症部会(2月9日)
資料機構は「仮称」とされているが法案の名称に変更はない

政府は次の感染症危機に備え、感染症対応能力を強化するための感染症等に関する新たな専門家組織として、いわゆる日本版CDCの創設をめざしている。

法案が成立すれば、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、感染症に関する科学的知見の基盤・拠点となる新たな組織とする。組織の名称は「国立健康危機管理研究機構」となる。

同機構は厚生労働大臣の監督の下、同省と密接な連携を図りながら、感染症その他の疾患による緊急事態の予防や拡大の防止、公衆衛生の向上増進に寄与すること等を目的とする。

全国的な情報基盤による情報収集や外部専門家との連携により質の高い科学的知見を獲得し、同じく創設に向けて検討が進められている「内閣感染症危機管理統括庁」等に迅速に提供する。

そのほか、平時から自治体や医療現場に感染症専門家チームを派遣し、緊急時の対応体制の構築を支援する。災害派遣医療チーム(DMAT)や感染症等対応人材(IHEAT)等に対する研修や、公衆衛生をはじめとする専門家の人材育成を行う。

また、国際保健医療協力の拠点として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現等に向けた国際機関との連携や人材育成等を行う。さらに、高度先進医療等を提供する総合病院をはじめ、現在の両機関が現在担っている事業等は着実に実施するとしている。

機構の業務

  1. 感染症その他の疾患に係る予防及び医療に関し、研究開発を行う

  2. 「1」に掲げる業務に密接に関連する医療を提供する

  3. 予防及び医療に係る国際協力に関し、研究開発を行う

  4. 感染症その他の疾患に係る予防及び医療並びにこれらに係る国際協力に関し、人材の養成及び資質の向上を図る

  5. 感染症その他の疾患に係る病原及び病因の検索並びに予防及び医療に係る科学的知見に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行う

  6. 感染症その他の疾患に係る病原体及び毒素の収集、検査及び保管並びにこれらの実施に必要な技術並びに試薬、試料及び機械器具の開発及び普及を行う

  7. 地域保健法第26条第2項に規定する地方衛生研究所等の職員に対する「5」及び「6」に掲げる業務に係る研修、技術的支援その他の必要な支援を行う

  8. 感染症その他の疾患の予防及び医療に関する生物学的製剤、抗菌性物質及びその製剤、消毒剤、殺虫剤並びに殺そ剤の生物学的検査、試験及び試験的製造並びにこれらの医薬品及び医薬部外品の生物学的検査及び試験に必要な標準品の製造を行う

  9. 使用されることがまれである生物学的製剤又はその製造が技術上困難な生物学的製剤の製造を行う

  10. 食品衛生に関し、細菌学的及び生物学的試験及び検査を行う

  11. 「1」から「10」までの業務に係る成果の普及及び政策の提言を行う

  12. 機構及び国立高度専門医療研究センターの職員の養成及び研修を目的として看護に関する学理及び技術の教授及び研究並びに研修を行う施設を設置し、これを運営する

  13. 機構の研究開発の成果の活用を促進する事業であって政令で定めるものを実施する者に対し、出資並びに人的及び技術的援助を行う

  14. 感染症法第65条の4に規定する事務及び感染症法第65条の5に規定する権限に係る事務を行う

  15. 「1」から「14」までの業務に附帯する業務を行う

厚生労働大臣は6年間で機構が達成すべき「中期目標」を定め、機構に指示する。これを受けて機構は「中期計画」を作成し、大臣認可を受ける。また、機構は中期計画に基づいた「年度計画」を定めて公表する。 機構には理事長を1人、副理事長を1人、9人以内の理事および監事2人を置くとしている。

なお、機構は法律の施行日に成立する。施行日は、公布から3年以内の範囲において政令で定められる。    

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