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災害時などに医療機関が手術や透析の情報を活用できる仕組みの構築を(6月15日)

厚労省の健康・医療・介護情報利活用検討会は6月15日、健康医療情報の活用について意見をまとめた。政府が夏にまとめる工程表に向けて、今後の方向を示した。手術や透析などの情報を医療機関が確認できる仕組みを構築する方向を示した。救急現場や災害時、感染症拡大時など、患者がかかりつけの医療機関を受診できない場合の情報活用が有用としている。  

マイナンバーカード等を用いて、医療機関の窓口で即座に保険資格情報を確認できるオンライン資格確認の運用が2021年3月からスタートする。このシステムを用いて、2021年3月からは特定健診情報を患者本人と医療機関が確認できるようになる。2021年10月には、レセプトに基づく薬剤情報も確認できる。  

さらに、政府の骨太の方針2019では、その他のデータ項目を医療機関等で確認できる仕組みを推進するため、2020年夏までに工程表を策定することを決定した。

健診・検診情報についてもPHRの推進のため、2022年度をめどに標準化された形でデジタル化して蓄積する方策を検討し、2020年夏までに工程化するとした。  

これを受けて同検討会は、夏の工程表策定に向けた検討を行い、意見をまとめた。総論として、平常時だけでなく、新型コロナウイルスのような「感染症の拡大・流行期」や、病院のデータが確認できないケースが生じうる大地震などの「災害時」、意識障害等があり患者本人から情報が得られないことのある「救急医療の現場」などで、医療情報を確認できるようにするための準備を速やかに進める方向を示した。  

医療情報の活用に関しては、2021年10月に薬剤情報の確認が可能になるが、さらにレセプトに基づく手術情報などの情報を活用していくべきとした。患者の受診した医療機関名や、診療報酬が算定される手術・移植、透析といった診療行為の項目などについて、患者本人と医療機関が情報を活用できる仕組みを構築する方向を示した。  

とくに医療情報の共有が有用であると想定される事例として、◇救急・災害・感染症拡大時などの緊急時に、かかりつけの医療機関を受診できない場合◇複数の医療機関等を受診する患者を総合的に診療する場合◇高齢者など、患者本人の記憶があいまいな場合―をあげた。

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