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救急時や災害時の医療情報共有について議論(5月18日)

厚生労働省は5月18日、「健康・医療・介護情報利活用検討会」(森田朗座長)と、その下部組織である「医療等情報利活用ワーキンググループ」「健診等情報利活用ワーキンググループ」を合同で、WEB会議方式で開催した。厚労省は救急医療や災害時に保健医療情報を全国の医療機関で確認できる仕組みを推進することを提案し、意見交換が行われた。  

昨年の骨太方針で示された方針に基づき、政府は今年夏に保健医療情報の共有の推進に向けた工程表を策定する予定だ。同検討会は、工程表策定に向けて議論している。

令和3年3月にオンライン資格確認の運用がスタートした後には、患者の特定健診情報などを医療機関の医療従事者らが閲覧できるようになる。厚労省はこれをさらに拡大し、救急医療において、患者に意識障害があり本人から情報が得られず、家族からも情報が得られないようなケースで、抗血栓薬などの薬剤情報や過去の手術歴などの情報を医療機関が把握できるような仕組みを早期に構築することを論点とした。  

地震などの災害時や、新型コロナウイルス感染症のような感染症拡大時に、過去の薬剤処方歴や傷病名などから、重症化リスクのある患者や、治療を継続する必要のある患者を把握することも提案した。  

構成員からは、災害時や感染症拡大時に医療情報を利活用することに「国民のコンセンサスは得やすい」(COML・山口育子構成員)との意見がある一方で、安全性に配慮を求める意見もあった。情報共有にはオンライン資格確認システムのインフラを利用するが、同システムの運用コストは保険者が負担することになっている。保険者からは、オンライン資格確認のインフラを当初の目的とは異なる目的に活用する場合に、運用コストの負担について再検討が必要との意見が出された。  

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