見出し画像

国保制度改善強化全国大会を開催 公費投入の確保など11項目を決議――国保関係9団体(11月18日)

国保中央会や地方6団体など国保関係9団体は11月18日、東京・千代田区の砂防会館で令和4年度国保制度改善強化全国大会を開催した。

国保の財政基盤強化のための公費投入の確保など11項目の決議を全会一致で採択した。新たな項目では、地方自治体の医療・保健・福祉業務の支援を担う国保連合会への措置が盛り込まれた。終了後は、政府や国会議員に対し要請活動を展開した。

国保制度を持続可能とするための継続的な公費投入の実施求める

主催者挨拶で、国保中央会の岡崎誠也会長(高知市長)は、平成30年度にスタートした都道府県が運営主体に加わった新国保制度について「市町村や都道府県など国保関係者の多大なるご尽力と被保険者のご理解によって、これまでのところ順調に運営されている」と述べた。

一方、医療費や低所得者の増加など構造的な課題は依然続いていることや、新型コロナウイルス感染拡大の影響に触れ、「国保の事業運営は今後とも厳しい状況が続くと見込まれるが、国保関係者は保険者機能を発揮して全力で事業運営に努力していく」と訴えた。

国保制度を将来にわたって持続可能とするためには、「国においても責任を果たすことが強く求められる。新たな国保制度を安定的に運営するための大前提となる毎年度3400億円の公費投入を今後とも確実に実施してもらうことを強く要望する」と述べた。

骨太の方針で検討が求められている生活保護受給者の国保等への加入については、「都道府県と市町村が一体となって安定化に努めている最中に、国保財政を悪化させる恐れがあり、一貫して反対している」と述べた。

令和6年4月予定の国保総合システムの次期更改の財政措置として、11月8日に閣議決定された令和4年度第二次補正予算案で57億円が計上されたことに対し、「所要の額が措置され、関係者、特に厚労省に感謝を申し上げたい」と述べ、今臨時国会での同法案の早期成立を求めた。

国保連合会の支援については、「国や地方自治体の要請を受けてさまざまな業務を実施している国保連合会が、今後とも地方自治体の医療・保健・介護・福祉業務支援の役割を十分に果たしていけるよう、財政支援をはじめ必要な措置を確実に講じていただけるようお願いしたい」と述べた。

決議

  1. 医療保険制度の一本化を早期に実現する。

  2. 国保の財政基盤強化のための公費投入の確保を確実に実施するとともに、保険者努力支援制度等が有効に活用されるよう、適切な評価と財政支援の充実を図る。

  3. 普通調整交付金が担う自治体間における所得調整機能は、今後も堅持し、見直しを行わない。

  4. 新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、国保制度の運営の安定を図るとともに、医療・保健・介護の人材及び公立病院等の医療提供体制を確保するため、地方自治体及び国保連合会に対して十分な支援措置を講じる。

  5. 子どもの医療費助成等の地方単独事業に係る国庫負担減額調整措置の全廃及び子どもに係る均等割保険料(税)の軽減制度の拡充を行う。

  6. 生活保護受給者の国保等への加入の議論については、見直しを行わず国としての責任を果たす。

  7. 国保総合システムは、医療分野におけるDX推進の柱であり、次期更改や運用に当たっては、市町村等保険者に追加的な財政負担が生じないよう、国の責任において必要な措置を講じる。

  8. 国保連合会が地方自治体の医療・保健・介護・福祉業務支援の役割を十分に果たせるよう、必要な措置を講じる。

  9. 国民の健康保持・増進及び医療費適正化に向けKDBシステムの更なる活用を進めるため、制度的役割の拡充を図るとともにシステム更改等に係る財政支援措置を講じる。

  10. オンライン資格確認等システムの普及やデータヘルス改革の推進に当たっては、国の責任において財政支援の充実をはじめ必要な措置を講じる。

  11. 国民健康保険組合の健全な運営を確保する。

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。