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謎の新興国アゼルバイジャンから|#48 伝える力(中)現場を知るということ

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時)

*この記事は2019年5月30日に「Web年金時代」に掲載されました。

本稿は外務省とも在アゼルバイジャン日本国大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

皆さんこんにちは。

前回の近況報告で大使夫人の活動についてお話ししましたので、今回は大使の近況報告をいたします。
バクーでは毎年4月に、「Des Semaines de la Francophonie」という大きなイベントが開催されます。フランス大使館始め、フランス語を話す国の大使館が中心になって約2週間、絵画展、クラシックコンサート、ジャズコンサート、映画祭、大学でのシンポジウム、フランス留学生OB/OG(Alumni)のイベントなど、様々な文化行事が市内各地で展開されます。

今年のSemaines de la Francophonie初日はスイス大使館主催のジャズコンサート。
これは開会挨拶時にバックに掲げられたパネルです。ロゴは協力機関と協賛企業。

今年は14ヵ国の大使館とEU代表部、それに当地のフランス関係機関(アゼルバイジャンフランス大学(UFAZ:French-Azerbaijan University)、フランス学院(Institut Francais)など)が参加し、アゼルバイジャン政府文化省が後援、そしてアゼルバイジャン内外の多数の企業がスポンサリングをしました。

残念ながら日本はフランコフォンではないので参加しませんでしたが、参加メンバー国を見ると、イタリア、ルーマニア、モルドヴァはラテン語圏ですからまあわかるとして、ギリシャやバルト3国、メキシコなんかもメンバーに入っていて、他方でスペインは参加してなくて、去年参加していたアルゼンチンは今年はお休み。
まあゆるいと言うかなんと言うか、自己申告で参加したいと言えば参加できる、そんな感じのイベントではありますが、他方でフランス語、フランス文化の持つ求心力と言うか、影響力・底力を改めて感じさせるようなイベントでもありました。

で。
申し上げたように日本大使館はイベントには参加しなかったのですが、期間中、UFAZから、「フランコフォン大使の連続インタビュー」という企画の中で日本大使の取材(インタビュー)をしたい、という申し入れがきました。
若い時にフランス勤務経験がある、ということで、どうやらフランコフォン大使の末席にカウントしてもらっていたようです。

仕事の話はほとんどなくて、フランス勤務時代の話、フランス映画やフランス音楽の話、好きな女優、好きな映画監督、文学、歴史、久しぶりに昔のことを思い出して楽しい取材になりました。

リンクは以下の通り。ご用とお急ぎのない方は覗いてみて下さい。
https://www.ufaz.az/en/news/japan-ambassador/

で、本題です。「伝える力」の2回目です。

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