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厚労省が令和5年度薬価改定の薬剤費削減の影響額を示す 安定供給確保措置も論点(12月9日)

厚労省は12月9日の中医協・薬価専門部会に、2年に1度の診療報酬改定の中間年にあたる令和5年度薬価改定に向け、12月2日に公表された薬価調査の結果を踏まえ、改定の対象範囲に応じた薬剤費削減の影響額を示した。

前回の中間年改定の対象範囲(平均乖離率の0.625倍)と同じにした場合、影響額は▲4900億円になることがわかった。

薬価専門部会(2022年12月9日)資料

上表に対象範囲を変化させた場合の影響額が示されている。実勢価のみの影響額で、薬価算定ルールへの適用分は含まれていない。平均乖離率からの範囲でどこまでを改定対象に含めるかで影響額は異なる。乖離率が大きな品目を対象にすれば、影響額は小さくなり、乖離率が小さな品目も対象にすれば影響額は大きくなる。乖離率は相対的に、新薬で小さく、後発品で大きいなどの特徴があり、影響額に違いが出る。

平均乖離率の0.625倍超の範囲だと、対象品目総数の69%が該当する(下表黄色い囲み部分)。新薬の63%、長期収載品の89%、後発品の82%、その他品目の36%が該当する。

令和5年度薬価改定の改定品目の範囲は予算編成過程で決まり、平均乖離率の0.625倍超が軸になると考えられるが、厚労省は、医薬品の安定供給確保を図るための措置を講じることも論点としている。健保連理事の松本真人委員は、影響額が▲5000億円となる平均乖離率の0.5倍超を対象とし、100億円(国費は約4分の1)を安定供給確保の財源として用いることを提案した。

一方、製薬企業などからのヒアリングは12月7日に実施。製薬企業側は、「物価高騰や円安の進行等が医薬品の製造コストや研究開発費に多大な影響を与え、薬価を引下げの状況にはない。実施するのであれば、緩和措置が必要」と訴えた。

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